

どうして24、96、384、チャンネル仕様の理解がそんなに重要なのでしょうか?
INTEGRAのVIAFLO 96/384ピペッティングヘッドをキャリブレーションする方法
INTEGRAは、重量測定と吸光度測定を組み合わせたハイブリッド法を用いてVIAFLO 96/384ピペッティングヘッドをキャリブレーションします(ISO IWA15:2015 Method B.6)。 1つのチャンネルを重量測定法で測定し(3つの試験容量に於いてそれぞれ5回測定)、このチャンネルの精度と再現性が仕様範囲にあることを確認の上、参照チャンネルとして使用します。次に、吸光度測定法を用いてすべてのチャンネルを測定し、参照チャンネルと比較します。算出されたピペッティングヘッド全体の精度と再現性は、INTEGRAの規定仕様以下である必要があります。再現性(CV)は、ピペッティングヘッド内の各チャンネル間の変動から定義されます。INTEGRAピペッティングヘッド(24、96、384)のすべてのチャンネルは個別に測定・評価され、仕様から外れることは許容されません。
24、96、384チャンネルピペッティング装置を校正するその他の方法
24、96、384チャンネルピペッティング装置のキャリブレーション方法は他にもあり、多くのメーカーは重量のみを測定する方法を用います。例えば、24、96、または384ウェルのすべてに測定容量を分注し、全プレートを秤量します(ISO IWA15:2015 Method B.4)。次に各ウェルの平均容量を算出します。場合によっては、この工程を数回繰り返して再現性(CV)値を得ます。システムが仕様の範囲内であるかどうかを判断するために、平均分注量を算出します。その他に、ランダムに選択されたチャンネル(多くの場合は5~20チャンネル)を基準に、同様に重量のみを測定する方法があります。この場合も、システムが仕様の範囲内であるかどうかを判断するために平均分注量を算出します。
INTEGRAのキャリブレーション方法が他の方法よりも好ましい理由
全体または部分的に充填されたプレートを秤量し、シンプルにウェル当たりの平均分注量を算出する方法には、欠損チャンネルなどの外れ値が識別または検出されないというデメリットがあります。
INTEGRAメソッドは、チャンネルごとにデータを取得するため、ピペッティングヘッドや各チャンネルに関する情報を確実に得ることができます。したがって、この方法は性能不良のチャンネルを識別するのに適しており、プレート全体と各チャンネルの両方の結果からキャリブレーションの合否を判定します。

他社の校正方法:もし7μlが目標容量の時、個々のチャンネルを計測せず、プレート単位で合否が判定されます。これは良い方法と思えますか?

INTEGRAの方法:7μlが目標容量であれば、個々のチャンネルがそれぞれ容量仕様を達成するかどうかで、合否が判定されます。
さらに、INTEGRAメソッドである吸光度測定法は、実際の研究室での作業条件に近いため、研究室で期待される結果により合致したものと考えることができます。一方重量法は、乾燥分注(乾燥プレートに分注)に基づいています。 したがって、INTEGRAのキャリブレーション結果は、多くの研究室で行われる日常のピペッティング結果により近いものとなる可能性が高くなります。
VIAFLO 96/384仕様と他のメーカーとの比較
INTEGRAの仕様は、ほとんどの研究室で同様の結果が達成できるように設計されています。他のメーカーは、96/384チャンネルピペッティング装置の優れた仕様を訴求しているかもしれませんが、一般的な研究室での実験では、これらの装置が常にそれを達成できるとは限らないことが示されています。2つのVIAFLO 96チャンネルピペッティングヘッドの精度と再現性の試験に加え、他のメーカーの96チャンネル製品二製品について同様に試験を行いました。 装置はすべて、一般的な研究室環境で試験しました。INTEGRA VIAFLOピペッティングヘッドは、INTEGRAメソッドに従って測定され、他のメーカーについてはINTEGRAメソッドとメーカー独自の重量のみ測定する方法に従って実施しました。
VIAFLOピペットヘッド試験
方法:INTEGRA重量・吸光度ハイブリッド法、名目容量の10%
300 µlヘッドVIAFLO 96
*(sn:52902)
容量 |
チップサイズ |
メーカーの精度仕様 % |
測定された精度は仕様範囲内である |
メーカーの再現性仕様 % CV |
測定された再現性は仕様範囲内である |
---|---|---|---|---|---|
30 |
300 |
2.5 |
✔ |
1.5 |
✔ |
12.5 µlヘッドVIAFLO 96
*(sn:52868)
容量 |
チップサイズ |
メーカーの精度仕様 % |
測定された精度は仕様範囲内である |
メーカーの再現性仕様 % CV |
測定された再現性は仕様範囲内である |
---|---|---|---|---|---|
1.25 |
12.5 |
8 |
✔ |
3 |
✔ |
VIAFLO 96ピペットヘッド試験結果
VIAFLOの仕様は、多くのピペッティング担当者が通常の研究室条件下において現実的で目的を達成できるようになっており、試験結果でそれが証明されています。
その他のメーカーの試験
方法:INTEGRA重量・吸光度ハイブリッド法
96チャンネル装置:他社1
(名目容量:300 µl)
容量 |
チップサイズ |
メーカーの精度仕様 % |
測定された精度は仕様範囲内である |
メーカーの再現性仕様 % CV |
測定された再現性は仕様範囲内である |
---|---|---|---|---|---|
50 |
50 |
2 |
✔ |
3 |
✔ |
2 |
50 |
2 |
✘ (> 10%) |
3 |
✔ |
1 |
50 |
2 |
✘ (> 15%) |
3 |
✔ |
96チャンネル装置:他社2
(名目容量:300 µl)
容量 |
チップサイズ |
メーカーの精度仕様 % |
測定された精度は仕様範囲内である |
メーカーの再現性仕様 % CV |
測定された再現性は仕様範囲内である |
---|---|---|---|---|---|
300 |
300 |
1 |
✔ |
1 |
✔ |
30 |
300 |
1.5 |
✔ |
1 |
✔ |
15 |
300 |
2 |
✘ (> 7%) |
2 |
✔ |
5 |
300 |
5 |
✘ (> 8%) |
5 |
✘ (> 6%) |
その他のメーカーの試験
方法:メーカー独自の重量のみ測定する方法
96チャンネル装置:他社1
容量 |
チップサイズ |
メーカーの精度仕様 % |
測定された精度は仕様範囲内である |
メーカーの再現性仕様 % CV |
測定された再現性は仕様範囲内である |
---|---|---|---|---|---|
50 |
50 |
2 |
✔ |
3 |
✔ |
2 |
50 |
2 |
✘ (> 10%) |
3 |
✔ |
1 |
50 |
2 |
✘ (> 15%) |
3 |
✔ |
96チャンネル装置:他社2
容量 |
チップサイズ |
メーカーの精度仕様 % |
測定された精度は仕様範囲内である |
メーカーの再現性仕様 % CV |
測定された再現性は仕様範囲内である |
---|---|---|---|---|---|
300 |
300 |
1 |
✔ |
1 |
✔ |
30 |
300 |
1.5 |
✔ |
1 |
✔ |
15 |
300 |
2 |
✘ (> 2%) |
2 |
✔ |
5 |
300 |
5 |
✘ (> 7%) |
5 |
✔ |
他のメーカーの試験結果
他のメーカーの装置は、試験で達成されなかった低容量での仕様を規定しています。特に、ピペット容量に比べてデッドエアスペースが大きなチップを使用して低容量をピペッティングする場合、達成することが非常に難しいことを証明しています。
結論
今回試験を行ったのは一部の装置のみでしたが、その他の装置でも同様の結果になると考えられます。VIAFLO 96/384ピペッティングヘッドは、安定した環境条件下で、研究員が適切なピペッティング方法に従う研究室において達成可能な仕様を用いて製造されています。さらに、INTEGRAメソッドを用いて得られた結果は、ピペッティングヘッドに関するより多くの知見を提供し、この結果は、他の記述的でない方法(例えば、重量測定のみ)と比較した場合に、日常使用の結果により近いと考えることができます。
24、96、384チャンネルの全仕様に関する質問
さまざまな24、96、または384チャンネル装置の仕様を比較することは、装置間の違いを理解し始めるうえで有用な方法となります。ただし、仕様を比較する場合、次の点を確認する必要があります。
そのメーカーは、装置のキャリブレーション合否判定にどのような方法を使用していますか。
メーカーは、個々のチャンネルについて結果を出す国際規格に準拠した方法を使用していますか。重量のみの測定方法、チャンネルごとの検査をしない方法については、十分な注意が必要です。
メーカー仕様は、日常的に使用するユーザーに対して非現実的な期待を約束していますか。
例:チップの総容量の10%以下をピペッティングする場合、精度2%以上および再現性(CV)1%以上の仕様は、通常の研究室環境で達成することは非常に難しいと考えるべきです。
VIAFLO 96/384ピペッティングヘッド仕様
ユーザーは、VIAFLO 96やVIAFLO 384のピペッティングヘッドを、アプリケーションに合った適正な容量範囲に簡単に取り換えることができます。ピペッティングヘッドの交換は容易で、一分もかかりません。
ピペッティングヘッドの各チャンネルそれぞれが精密加工されたピストンと気密構造を持ち、お互いに干渉することなく独立しているため、エラーのないピペッティングが可能です。
