ピペットの操作方法 – ベストプラクティス

ピペットの操作方法 - 10個のコツ

不正確なピペットの結果にイライラしていませんか?下記の要領でお客様の結果をすぐに改善します!

  • ピペット、チップおよび液体が室温であることを確認します(プロトコルが許す場合)
  • 傾きが20°を超えない一定した角度でピペットを保ちます
  • プレウェットのために、スペック最大容量を3回吸引・吐出します
  • スペック容量範囲内で吸引・吐出します(エアディスプレースメント方式の場合、最大容量の35%~100%の範囲を目安にします)
  • 液面から2~3 mmの深さを目安にチップを浸して吸引します
  • 各吐出後にチップタッチをします
  • 等量分注の場合、最初と最後の吐出液を捨てます
  • 粘性のある液体は「リバースピペット」で低速吸引・吐出します
  • 揮発性の液体は「リバースピペット」で素早く吸引・吐出します
  • 液体の密度が水と著しく異なる場合は、その液体でピペットを再キャリブレーションしてください
     

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はじめる前に留意すること

1. 温度を室温に合わせる

実験の⼿順から許容できない場合は別として、ピペット、チップおよび溶液の温度を室温に合わせる必要があります。

注記:温度が均⼀でない場合、チップ内の空気やピペットのシリンダー部の空気の体積が収縮または膨張し、液体の吸引・吐出容量の正確性と再現性に悪影響を及ぼす可能性があります。

temperature

正しいピペットの操作

2. ピペットの⾓度を⼀定に保つ

可能な限り、ピペットの角度は常に⼀定に保ちます。 角度は20度を超えないようにしてください。

注記:⾓度を変えるとチップ内の⽔圧が変化します。結果として、吸引量が安定しないことになります。

How to use a micropipette: Hold it straight or at an angle of max. 20 degrees

3. 正しい吸引の仕⽅

ピペットチップを深く浸さず、液体表⾯から2〜3mmの深さで⽬的の容積を吸引すると、最もよい結果が得られます。

注記:ピペットチップを深く浸しすぎると、チップの外側に余分な液が付着し、不正確な結果をもたらす可能性があります

Pipetting technique: The pipette tip should be immersed just below the liquid's surface

4. 吐出の後にチップタッチを⾏う

吐出後、以下の3つの⽅法のいずれかを⾏ってから、ピペットを容器から離します。

側面チップタッチ(標準⽅式)
チップの先端を容器の内壁に沿ってスライドさせながら容器から離します。⼀般的に最も推奨できる⽅法です。

液⾯へのチップタッチ
チップ先端についた液滴を容器内の液⾯に触れさせてからチップ先端を容器か ら離します。吐出量が1μL未満の場合に、適切な⽅法として推奨されます。液滴を液体に触れさせることでピペットの先端から小さな液滴が引き出され、正確に吐出することが出来ます。

液中へ吐出
液中に直接吐出する⽅法で、ウェットディスペンスとも呼ばれ、チップタッチは 必要ありません。液が容器側⾯に残らないようにする⽅法で、少量吐出に最適です。

注記:吐出後、残液がチップ先端に付着することがよくあります。この残液をチップから取り去るには上記の⼿法が効果的です。

pipette tip performing a side wall touch off, a surface touch off and an into liquid dispense

吸引・吐出パフォーマンスの最適化

5. プレウェット (Pre-Wet)

チップをピペットに装着後、液を3回吸引・吐出します。これにより、液とチップの温度差が埋められ、ピペット及びチップの内部空間の湿度の均質化が図られます。

注記:プレウェット⼿順を省略すると、最初の吐出は蒸発によって液量が少なくなる傾向があります。また、液が蒸発すると蒸気圧が増加し、液がチップ先端から押し出され、液滴を形成することがあります。

empty pipette tip and pipette tip with liquid inside

6. 最適な容量範囲のピペットを選択する

エアーディスプレイスメント⽅式ピペット(空気置換型ピペット)は、 スペック容量の35%から100%の間で最高の性能を発揮します。

注記:最適な容積範囲内のピペットを選択することにより、ユーザーの熟練度に起因する液量誤差の影響を低減できます。

How to pipette: Pipette within the optimal volume range

7. 最初と最後の吐出を捨てる

(電動ピペットを用いて)連続分注を⾏うとき、最初と最後の吐出液を使用しないことをお勧めします。

注記:最初と最後の吐出には多くの液量誤差が含まれるため、アッセイに使用すべきではありません。最後のディスペンスには、それ以前のすべての吐出の累積誤差が含まれるため、捨てることが特に重要です。

8. 粘性の高い液体

粘性の高い液体は、「リバースピペット」で、遅い速度で吸引・吐出するのがよいでしょう。

注記:ピペットチップの先端⼝径は小さく、ピペット及びチップ内部の空気には弾力性があるため、粘性の高い液体を速いスピードで吸引・吐出するのは困難です。また粘性の高い液体はチップの内壁に粘着する傾向があり、完全な吐出も困難です。リバースピペットは、⽬的量より少し余分に多く吸引し、⽬的量を正確に吐出した後、残った液を捨てます。

9. 揮発性の液体

「プレウェット(Pre-Wet)」を⾏ってピペット及びチップ内部の空気を加湿した後、 「リバー スピペット」で素早く吸引・吐出します。

注記:この⽅法により、吸引した液が蒸発することによる影響を抑える事が出来ます。吸引した液量が蒸発によって減ることで、吐出量に影響を与えるのを最小限に抑えるために、リバースピペットで余分に多く液を吸引しておきます。

10. 液体密度に基づいたキャリブレーション

水溶液以外の液体を使用する場合、液量誤差が発⽣する可能性があります。液体の 密度が水と大きく異なる場合は、ピペットの再キャリブレーションを⾏って下さい。

注記:ピペットは通常、工場で室温の蒸留水でテストされ、校正されます。密度の異なる液体を吸引・吐出すると不正確な結果になります。

How to use a pipette: the first and last dispense in the tip need to be discarded