8種類のよくあるピペットエラーと、それらに対処するためのシンプルなソリューション

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8種類のよくあるピペットエラーと、それらに対処するためのシンプルなソリューション

ピペットエラーの影響は軽視されがちですが、実験台の上ではわずかなずれでも、蓄積するとデータに大きな誤差が生じます。関与する変数の数は実施される手動ピペットステップの数とともに増加し、その結果として、誤った操作がワークフローに入り込む可能性が高くなります。ピペット作業の精度を高めるには、このようなエラーの原因を理解することが不可欠であり、高精度のピペット(当社が供給しているものなど)と適切なピペット操作法を組み合わせることが、最終的に結果の信頼性を高める一助となります。本稿では、8種類の最もよく起こるピペットエラーと、それらを克服するためのシンプルな解決方法をご紹介します。

ピペットエラー1:温度変動の無視

ピペット、チップ、液体間の温度の違いはピペット内部のエアクッションの体積に影響を及ぼすことがあり、その結果として量の変動が生じ、一貫性のない測定値が最終的に得られることになりかねません。吸引前にプレウェットを採り入れることで、ピペット内部、チップ、液体間の平衡が確保しやすくなり、その結果として、この課題の大部分が克服され、測定値の精度に対する確信が高まります。

当社の電動ピペットは、いずれもプレウェットを行うようにプログラミングすることができ、これにより、高精度で一貫性のある結果を得ることが容易になります。さらに、ピペット液量を常に目視で点検し、正確であることを確認してください。

ピペットエラー2:一貫性のないピペット角度

ピペット操作は、マスターするまでに長い年月を要する繊細な技術です。ピペットを持つ角度を一貫させることは最も重要です。ピペットの角度が一貫していないと結果の信頼性に影響を及ぼすので、それを最小にするために角度の逸脱が20度を超えないようにすることが極めて重要です。次回実験台で作業する際には、角度が大きくなるほど誤差が大きくなることを思い出してください。

Scientist holding a pipette at an angle of about 20 degrees

当社のEVOLVE手動マイクロピペット、VIAFLO軽量電動ピペット、VOYAGERチップ間隔可変電動ピペット等、人間工学に基づくツールを採用することにより、精密なピペット作業を簡単かつ快適に維持することができます。これらはいずれも軽量で使いやすいピペットですが、特にVOYAGERを使用すると、フォーマットの異なる実験容器間でのサンプルの移動が可能で、ステップ数を削減できることに加え、ワークフローにエラーが紛れ込む可能性も減らします。一方、ASSIST PLUS分注ロボットMINI 96ポータブル電動ピペットVIAFLO 96/VIAFLO 384電動プレート分注機は、ピペットチップが毎回確実に垂直に配置されるようにして一貫性を改善するように設計されています。

ピペットエラー3:一貫性のない手動ピペット操作

手動ピペットを使用する場合、ピペットの角度やピペットの速度、液量調節、プランジャーの押下深さの不一致など、多数の変動が生じる可能性があり、これらは結果の不一致につながる場合があります。

当社のEVOLVE手動マイクロピペットは、最小のプランジャー押下力、軽量デザイン、素早い液量調節を特徴とし、ピペット作業の正確性と再現性を大幅に高めることができます。

ピペットエラー4:チップの不適切な取付

ピペットの際に適切なチップを使用することは、液だれや液漏れを避け、チップの整列がずれることや脱落を防止するために極めて重要であり、ユニバーサルチップのサプライヤーではなく、ピペットと同じメーカーのチップを使用するのが理想的です。チップの取付不良の場合、吸引するごとに液量がすぐに不正確になります。

GRIPTIPS®ピペットチップは、当社の各種ピペットに確実に適合するように設計されており、脱落することが全くなく、毎回完璧な密閉を形成することを約束するとともに、液漏れや液だれも起こしません。

 

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ピペットエラー5:不正確な容量範囲

ピペットごとに最適な液量範囲があり、空気置換式ピペットの場合、通常は最大容量の35~100%です。この範囲未満で操作すると、クッション内の空気が過剰になり、不正確な結果につながることがあります。したがって、ピペットが最適な状態で動作することを確保し、エラーを最小限に抑え、可能な限り最善の精度を維持するためには、この範囲から逸脱しないことが非常に重要です。

当社のVOYAGERチップ間隔可変電動ピペットVIAFLO軽量電動ピペットEVOLVE手動マイクロピペットは、幅広い液量に対応しているため、ほぼすべてのアプリケーションに適しています。

ピペットエラー6:液体の粘度の無視

粘性のある液体は、その粘度が高いことから特殊なハンドリングを必要とし、正確な液体移動を行うには精密なピペット速度と制御が不可欠です。

速度調節が可能で、粘性物質をの正確な移動を可能にする「リバースピペット」モードを備えた当社の電動ピペットを使用することで、この課題に対処することができます。さらに、吸引の際にピペットチップを液体中で保持する時間を長くして、チップが液体中で安定できるようにすることも有用な可能性があります。一方、ワイドボアチップやローリテンションチップは、サンプルのスムーズな移動による液体回収率の最大化に役立ちます。

ピペットエラー7:サンプルの揮発性の無視  

揮発性液体の急速な蒸発は、ピペットの液量を大きく変動させる可能性があるため、実験室技術者にとって大きな課題です。これが起こらないようにするためには迅速なワークフローが不可欠であり、測定値の精度を維持するには液体を高速で吐出しなければなりません。

How to pipette volatile liquids: Pipette tip with ethanol inside

当社の電動ピペットは、実験台での作業時間を最小化する「高速分注」機能と「リバースピペット」機能を備えており、これにより、蒸発が起こる前に正確な液量の移動ができるようにしています。さらに、当社の電動ピペットは簡単にプレウェットをプログラムすることができ、これはチップ内の空気圧と湿度の平衡を確保する一助となり、蒸発を抑制します。

粘性のある液体および揮発性液体のピペットに関する詳細情報

ピペットエラー8:連続分注を行う際に最初と最後の吐出液を捨てない

吸引後、吐出の前に電動ピペット内部のパーツの向きが変わります。連続分注を行う場合、その結果として、最初の吐出量が過度に少なくなるとともに、最後の吐出量にはそれまでの吐出すべての累積誤差が最終的に含まれることになります。最初と最後の吐出液を廃棄することは、初期吐出圧やチップ内の残留液の不一致を排除する一助となります。この手法により、最も信頼できる等量分注液に基づくデータを得ることができます。

当社のVIAFLOおよびVOYAGERピペットに搭載されている「リピートディスペンス」モードは、まさに大革命をもたらす機能であり、一回まとめて吸引して複数に分けて吐出できるようにすることで、時間の節約と操作ミスの大幅な低減を実現します。この直感的な設定のおかげで、ユーザーは前吐出と後吐出のステップをにプログラムとして設定することもできます。 

当然のことながら、ここに述べた8種類のピペットエラー以外にも考慮すべき点があります。実際、ピペット操作の探究については書籍で多数の章が割かれるほどです。いっぽうで、ピペット戦略を最適化するために次の点についても検討すると良いかもしれません。

  • ピペットのクリーニングを定期的に行う
  • こまめに休憩を取る
  • ピペットのキャリブレーションを定期的に行う
  • ピペットを(できれば専用のスタンドに)立てて保管する

今すぐ当社にお問い合わせください。当社の各種ピペットが結果の正確性を改善するうえでどのように役立つことができるかをご確認いただけます。