MIC試験に利用できるウォークアウェイの連続希釈ピペッティング

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MIC試験に利用できるウォークアウェイの連続希釈ピペッティング

抗生物質耐性の報告が増えつつありますが、これは私たちの健康に壊滅的な結果をもたらす可能性があり、医療システムへの経済的負担も増大させるため、新規の抗菌化合物の開発が緊急に必要とされています。新規の抗生物質を特定するための創薬研究では、新規または改変した候補薬の活性と有効性を評価するために大規模なスクリーニングが必要となります。このような開発の初期段階において、主任研究者は通常、次の基準の1つ以上を確認しようとします。

  • MIC – 最小発育阻止濃度:微生物の増殖を阻害するための抗菌剤の最低濃度。
  • IC50 – 50%阻害濃度:生物学的または生化学的阻害機能アッセイにおける化合物の有効性の尺度。
  • EC50 – 50%効果濃度:ベースラインと最大反応の中間の反応を誘発する化合物の濃度。
  • LD50 – 半数致死量:テストサンプル集団の半数を死亡させるのに必要な容量。

これらのパラメーターを決定するには、各候補化合物を複数回希釈し、何度か再現する必要があります。よって、頑健で再現性のある結果を確保するためには、正確なピペッティングと混合が必要となります。MICの決定は多くの場合、このプロセスの最初の手順となります。ここではこの例に焦点を当て、ピペッティングを自動化することがいかにワークフローの再現性と生産性を向上させるかを解説していきます。

MICはどのように決定されますか?

MICを決定するための一般的なアプローチは、標準的なマイクロタイター法を使用することです。マイクロプレート内の液体増殖培地に候補化合物の2倍連続希釈を作成し、すべてのウェルにあらかじめ定義された量のバクテリアを接種します。次に、マイクロプレートをインキュベートし、マイクロプレートリーダーを使用してバクテリアの増殖を評価することにより、化合物の最低有効濃度を特定することができます。このアプローチは、何千もの化合物をスクリーニングするために使用できますが、これは手作業で実行すると面倒で時間がかかり、エラーや汚染の可能性が起こりやすくなります。

Antimicrobial susceptibility: Minimum inhibitory concentration (MIC) testing results in a 96 well plate

連続希釈の簡素化

INTEGRAでは、連続希釈など、日常的で反復的なピペッティング作業をより簡単に実行するためのソリューションの発見に取り組んでいます。当社の高品質の電動マルチチャネルピペットおよびピペッティングロボットは、手動ピペッティングに伴う多くの問題を解決でき、パフォーマンス、精度、および再現性を向上させて生産性を最大化します。たとえば、ASSIST PLUSピペッティングロボットVOYAGERチップ間隔可変ピペットを組み合わせることで、複数のサンプルの連続希釈を並行して実行するエレガントなウォークアウェイ・ソリューションが提供されます

このセットアップにより、移動と混合の手順を自動化でき、ベンチで作業する技術者よりも迅速かつ確実にタスクを実行できます。また、ピペッティングの高さ、速度、および混合パラメーターがすべての希釈で一貫しており、再現性を確保しながら、手動ピペッティングに伴う人間工学的リスクを回避します。

ASSIST PLUS pipetting robot

何よりも、VOYAGERのチップ間隔自動調整機能により、化合物または接種材料を、試験管からマイクロプレートに直接迅速に移すことができるため、時間のかかるシングルチャネルピペッティングは不要になります。このウォークアウェイ・アプローチは、ラボの試験能力を最大限に発揮させ、医薬品開発のワークフローを加速させるのに役立ちます。こちらの記事では、英国ブリストルのサウスミード病院にてASSIST PLUSが日々のMIC試験ワークフローで科学者をサポートしている様子を知ることができます。

より多くのサンプルをより迅速に処理する

INTEGRAは、96または384ウェルプレートのすべてのウェルに同時に充填できる各種のベンチトップ型ピペッティングソリューションも提供しています。これらのオプションのおかげで、プレート充填のスループットが大幅に向上し、さらに縦または横1列にチップを装着するだけで連続希釈を実行することもできます。プレート全体へのピペッティングでは、すべてのウェルに並行して接種することによりアッセイのセットアップ時間を短縮できるため、細胞ベースアッセイにおける時間関連のばらつきの排除にも役立ちます。Evotec社(フランス、リヨン)がVIAFLO 96を使ってサンプルのスループットをどのように向上させたのかをご覧ください。

Example of the ASSIST PLUS pipetting samples from the INTEGRA microcentrifuge tube rack into a 96 well plate.

無菌性の維持

当社の自動ピペッティングシステムの設置面積はコンパクトであるため、クリーンベンチ内での使用に最適です。きっちりと整列し、漏れや落下が決して起こらないように設計された当社独自のGripTipsと組み合わせれば、何時間もの作業が無駄になってしまう恐れのある汚染リスクの軽減に役立ちます。

簡単操作

INTEGRA電動ピペッティングシステムは、共通のタッチホイール型インターフェースを介して制御されるため、デバイス同士を簡単に切り替えることができます。この直感的なセットアップにより、迅速なナビゲーションと操作が可能になり、MICアッセイをセットアップして実行するためにあらかじめ定義されたカスタマイズ可能なプログラムを呼び出せます。オペレーターは、必要な容量、ラボウェアフォーマット、混合パラメーター、およびコントロールを入力するだけで、ラボ全体の生産性を向上させる完全なアッセイワークフローを作成できます。

VIAFLO 96/384 performing a serial dilution