自動RNA解析によるゲノミクスの加速

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自動RNA解析によるゲノミクスの加速

scRNA-seqは、細胞の不均一性の調査、稀な細胞集団の同定、遺伝子の共発現パターンの探索を可能にする画期的な技術です。神経学、糖尿病、心血管疾患、がんなどの分野において、複雑な生物学的プロセスに関する知見を拡大し、新たな治療法を開発する上で極めて重要な技術であり、2009年に初めて導入されて以来、短期間で急速な進化を見せてきました1。コンビナトリアル・バーコーディング技術を組み込んだ第3世代のscRNA-seqは、薬物治療に対する細胞応答の研究、その背後にある遺伝的メカニズムの理解、様々な疾患領域における幹細胞治療の有効性の決定に使用できることから、その価値は医学研究にとって計り知れません。また、これまでscRNA-seqの繰り返しに必要であった細胞の物理的パーティショニングや、それに伴う高価な装置を必要とすることなく、これまでにないスループットを実現します。

シングルセル解析に革命を起こす 

米国ワシントン州シアトルを拠点とするParse Biosciences社は、第3世代の scRNA-seqを大規模に行う画期的なツールの開発に取り組んでいます。同社が商標権を持つEvercode™コンビナトリアル・バーコーディング技術は、細胞特異的なバーコードの組み合わせで分子を標識するため、細胞を単離することなくプロジェクトの規模を拡大できます。Evercode scRNA-seqのワークフローは、シングルセルの多段階コンビナトリアル・バーコーディング、バーコーディングされたcDNAの増幅、解析にかけるライブラリーの調整、という3つのセクションで構成されています。最初のセクションでは、細胞を固定して透過処理することで、個々の細胞がそれ自身の反応チャンバーとなり、個々の細胞を液滴やマイクロウェルに取り込む必要がなくなります。そのあとのスプリットプール・バーコーディング・プロセスは、多数のバーコードの組み合わせで細胞をラベリングします。

Evercodeテクノロジーを使用することで、最大100万個の細胞、96の生物学的サンプルを並行して処理することができます。細胞は回収・固定され、最長6ヶ月間保存できるため、経時的研究やバッチ効果の回避目的など、異なる日に回収したサンプルを一緒に処理することが可能です。Evercodeの遺伝子・転写産物検出技術は、その大規模での感度の高さのおかげで、液滴ベースの方法よりもパフォーマンスが優れていることが実証されています。また、この技術で生成された高品質なデータは、Parse Biosciencesのエンド・ツー・エンドのデータ解析ソフトウェアであり、かつ、この解析キットと一緒に提供されるTrailmaker™で解析・共有することが可能です。

Parse Biosciencesの共同設立者でCTOであるチャーリー・ロコ博士は、この高度なscRNA-seq 技術における自動化の重要性を次のように強調しています。「RNA解析のためのコンビナトリアル・バーコーディングを大規模で導入することは、いくつかの理由で制限されていました。例えば、現在市販されている解析装置やオートメーション装置の多くは、予算が限られている小規模施設にとってはコストが高くつくことがあるうえ、装置の設置やスタッフへの使い方のトレーニングに数ヶ月かかることがあります。現実的な価格帯でユーザーフレンドリーで直感的に使える自動分注機がないことが、scRNA-seq 装置導入の障害となっていることから、より幅広い普及を促進するためには、よりアクセス性に優れたソリューションが必要であることが分かります」。

Two Parse Biosciences boxes

合理化されたバーコーディングを実現する自動化技術の統合

Parse Biosciencesは2023年後半、この分野のより急速な発展の足かせとなるいくつかの障壁を取り除くのに役立つ自動scRNA-seqソリューションを共同開発すべく、INTEGRAに相談を持ちかけました。INTEGRAとの協業が見事に達成されたことで、Evercodeの3つのワークフローのうちの1つ目の工程は、D-ONEシングルチャンネル分注モジュールと8チャンネルVIAFLO軽量電動ピペットを取り付けたASSIST PLUS分注ロボットを使用することで自動化されています。この画期的なプロトコルの開発と検証はわずか数ヶ月で達成され、2024年5月初旬にこの自動化パッケージが発売されました。D-ONE分注モジュールを取り付けたASSIST PLUSは、細胞内転写産物へのウェル特異的バーコードの添加、試薬混合物の調製、Evercodeキットのバーコード・ラベリングプレートへの細胞分注を行うことで、シングルセルの識別を可能にします。このシームレスな統合は、人為的ミスや作業者間のばらつきを減らすのに役立つだけでなく、実験室のスループットを向上させ、1週間に数百規模の別々のサンプルを簡単に解析できるようにします。

チャーリーは続けて言います。「この使いやすく、費用対効果の高い強力なリキッドハンドリング構成のおかげで、 scRNA-seqのサンプル調製が自動化され、学術グループやゲノミクス中核施設、製薬会社など、あらゆる規模と予算の研究室での作業がはるかに合理化されるとともに、利用しやすくなりました。まだ初期段階に過ぎませんが、リキッドハンドリングの自動化によって解析プロセスが劇的にスピードアップし、スループットがさらに高まったという声を、すでにお客様からいただいています。さらに、人的ミスの減少によって scRNA-seqを標準化し、より再現性の高い結果を導くのに役立っているという声もあります。実際、これまでのところ、研究室での作業時間を最大で75%短縮し、手作業によるピペット工程を最大で85%削減できるという弊社のデータが出ています。これにより、高度に訓練されたスタッフが他の重要な作業をこなしたり、新しい scRNA-seq研究プロジェクトを開始したりできるようになるというメリットを生みだしています」。

「現在、弊社では、ASSIST PLUSを使って、弊社の scRNA-seqプロトコルの残りの2セクションの自動化を進めているいるところです。このバージョンアップされたソリューションを、近い将来、皆様にお届けしたいと考えています。INTEGRAとの素晴らしい協業を引き続き継続できることをたいへんうれしく思っています。また、今後数ヶ月、数年にわたり、この急速に変化する研究分野に貢献できることを楽しみにしています」と、チャーリーは締めくくりました。

More information: Product sheet Parse and INTEGRA single cell automation bundle

参考文献

Tang F, Barbacioru C, Wang Y, et al. mRNA-Seq whole-transcriptome analysis of a single cell.Nat Methods.2009;6(5):377-382. doi:10.1038/nmeth.1315

ASSIST PLUS pipetting robot set-up for DNA clean-up

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