ピペットのAccuracy(正確性)とPrecision(再現性)を上げるヒントとコツ
ピペットのAccuracy(正確性)とPrecision(再現性)を上げるヒントとコツ
ピペットはライフサイエンスの実験室で日常的に使用されていますが、研究者の中には、毎回同じ手順に従った場合でも、液体の取り扱い技術に一貫性がない場合があります。これは、データの不備や再現性の懸念をもたらし、結果の完全性を損ねることにつながります。液体の取り扱いにおける品質保証の取り組みでは、一般的にピペットのキャリブレーション、修理、メンテナンスに重点が置かれていますが、正しく一貫したピペット操作の技術を確保することも、効率的なワークフローとプロジェクトの成功にとって同様に重要なことです。
INTEGRAのアプリケーションチームは、液体の取り扱いの分野で数十年の経験を積んできました。そこで、正しいピペット操作の一般的なルール、ヒント、コツについて提供するために、この動画シリーズを作成しました。これらのシンプルなガイドラインに従うことにより、以下のことが可能になります。
- すべての吸引→吐出のAccuracy(正確性)とPrecision(再現性)を高め、結果の再現性と信頼性のさらなる向上
- 手動および電動マイクロピペットの一貫した操作
- 粘性液体や揮発性液体といった「扱いにくい液体」のピペット操作の改善
- 長期的な操作を可能にする正しいメンテナンス
Accuracy(正確性)とPrecision(再現性)とは?ピペットにおけるその重要性とは何でしょうか?
ピペットのAccuracy(正確性)とは、実際に吸引→吐出した量が設定値にどれだけ近いかを表します。ピペットのPrecision(再現性)とは、何度も吸引→吐出を行ったときに、吐出量がどれだけ一定になるかを表します。メンテナンスの行き届いたピペットは、Precision(再現性)の高い道具を使っているという安心感を与えてくれますが、各吸引→吐出のAccuracy(正確性)は、その道具の正しい使い方と操作者の経験によって決まります。この動画では、ピペットのAccuracy(正確性)とPrecision(再現性)の重要性について説明し、ご自身のワークフローで問題が発生している可能性のある場所を特定し、簡単な調整で結果を改善する方法についてご紹介します。
手動ピペットと電動ピペットをどう使い分けるべきですか?
手動か電動か?手動ピペットは個々のサンプルを数回分注するには素晴らしいツールですが、電動ピペットのハイスループットと連続分注機能は作業負荷を軽減するのに役立ちます。また、電動ピペットはプランジャーの動作がモーターで制御されているため、よりPrecision(再現性)が高く、身体的負担と吸引・吐出のサイクルが少なく、より人間工学に基づいたソリューションとなります。この動画は、ワークフローの各作業に手動ピペットと電動ピペットのどちらを使用するかについて、より多くの情報を得たうえで決定するのに役立ちます。
ピペットは容量範囲の最大値で使用したほうが良いですか?
どのピペットも、35~100%の液量範囲で使用することを常にお勧めしています。これは、最大指定容量の35%を下回るとAccuracy(正確性)やPrecision(再現性)が低下するためです。ただし、これは氷山の一角に過ぎません!吐出量に関するさらに有用な情報とヒントについては、この動画をご覧ください。
チップの液漏れの原因は何でしょうか?
ピペットチップ内の液体は、吸引後、チップと液体、実験室の環境の大気差により、ほぼ瞬時に蒸発し始めます。その結果、チップ内の気圧が上昇し、液体が押し出され、液漏れが起こることがあります。この問題は、エタノール、アセトン、クロロホルムなどの揮発性液体を扱う際によく発生し、吸引→吐出のAccuracy(正確性)やPrecision(再現性)の低下から作業スペースの汚染など、さまざまな影響を及ぼす可能性があります。この動画では、ピペットチップをあらかじめ適切に濡らしておき(プレウェット)、チップ内の気圧と湿度を平衡させる方法など、この問題に対する簡単な解決策を紹介しています。
より正確で再現性の高い吸引→吐出を行うためには、どのようにピペットを持てばよいのでしょうか?
ピペットの取り扱いは、ほとんどの研究者にとって当たり前のスキルですが、悪い習慣は全体のAccuracy(正確性)やPrecision(再現性)を低下させ、その後の結果に大きな影響を与える可能性があります。
幸いにも、ピペット操作の向上は簡単で、すぐにでも実行することができます。例えば、ピペットをできる限り同じ角度で持つことが重要であることをご存知でしょうか?あるいは、50μL以下の極少量では、ピペットを完全に垂直に保つことが重要であることをご存じでしょうか?この動画では、実際のデモンストレーションを交えて、そのすべてをご紹介します。
吸引するとき、ピペットを液体に浸す深度は重要ですか?
一言で言うと、「重要」です。ピペットチップを原液に深く差し込むほど、余分な液体がチップの外側に付着する可能性が高くなるため、ピペットチップを浸す深さはとても重要です。特に極少量の吸引→吐出の場合、意図した量よりも多くの液体を吸引することになり、ワークフローや結果に悪影響を及ぼす可能性があります。吸引の際は、原液容器の壁を目安に、チップを原液の2~3mm程度の深さまで挿入するのが理想的です。しかし、これには例外がありますので、この動画で詳細をご覧ください。
吐出後、チップに液滴が付着しています。どうしたらよいですか?
吐出後、チップの先端に液滴が付着することがあります。これは目標液体量の一部であるため、すでに吐出した液体に追加する必要があります。そのためには、「チップタッチ」が必要ですが、その方法には3つのオプションがあります。この動画で用途に合った方法をご確認ください。
粘性の高い液体のピペット操作はどのようにしたらよいですか?
これはライフサイエンスの実験室におけるピペット作業の最大の問題点の1つです。まず吸引・吐出速度を遅くし、吸引や吐出を終える前に、その都度一旦停止する必要があります。またリバース法(必要量以上の液体を吸引、必要量だけ吐出し、残った液を廃棄する方法)を使うことも有効な方法です。
揮発性溶液のピペット操作はどのようにしたらよいですか?
揮発性溶液を吸引→吐出する場合も、吐出量が不足しないようにピペット操作を少し変える必要があります。これは、揮発性液体の蒸発が早いために、吸引から吐出までの間にチップの液漏れや液体のロスが発生する可能性があるからです。この問題を解決する最善の方法は、吸引する液体でチップをあらかじめ濡らしておくこと(プレウェット)です。こうすることで、チップ内の気圧と湿度を平衡させることができます。また、吸引後の吐出を通常よりも速く行い、液体をできるだけ早く目的の容器に入れることも効果的です。最後に、リバース法も有効です。ただし、これらのルールには例外がありますので、こちらの動画をご覧ください!
電動ピペットで連続分注する際、Accuracy(正確性)やPrecision(再現性)を高めるために何かできることはありますか?
連続分注では必ず、最初と最後の液量を捨てる必要があります。これは、ピペット内部の機構を吸引方向から吐出方向に変える必要があり、最初の吐出のAccuracy(正確性)に影響を与える可能性があるからです。同様に、最後の吐出量はそれまでの吐出で発生したAccuracy(正確性)の誤差が積み重なり、目標量と異なっている場合があります。この動画では、デモンストレーションを交えて、そのすべてをご紹介します。
ピペットの性能をできるだけ長期間、最大限に発揮させるにはどうしたらよいですか?
定期的なメンテナンスは、ピペットの耐用年数が尽きるまで最高のAccuracy(正確性)とPrecision(再現性)を確保するための最後の重要な要素です。使用しない時は正しく保管し、定期的な洗浄、リークテスト、キャリブレーションを行うことが重要です。この動画では、これらすべてを網羅した便利なガイダンスをご覧いただけます。