自動化により、アルボウイルス検査のためのサンプルプーリングを効率化

· ユーザー証言

自動化により、アルボウイルス検査のためのサンプルプーリングを効率化

アルボウイルスは、蚊やダニなどの節足動物ベクターが媒介するウイルスに使用される用語で、例として、ウエストナイルウイルスや東部ウマ脳炎ウイルスがあります。どちらも、感染した蚊に刺されることによって人間に感染します。ニューハンプシャー公衆衛生研究所のアルボウイルス検査実験室が実施しているような監視プログラムは、このような蚊媒介感染症への対応の指標となる貴重なデータを提供します。

世界中の他の多くの検査施設と同様に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、アルボウイルス検査実験室は蚊監視プログラムに大規模な変更を加えることを余儀なくされ、ASSIST PLUS分注ロボットを使った自動化プールサンプル検査ワークフローの導入につながりました。検査室の管理者であるデニス・ボルトン(DeniseBolton)は次のように説明しています。「私たちは、検査用品需要の急増、PCR機器の不足、および検査室スタッフへの多大な負担という問題が当分続くことに気づきました。パンデミック以前から、プールサンプル検査モデルをアルボウイルス監視に試してみることを考えており、今こそこのアプローチを実施する時だと思いました。」

ASSIST PLUS pipetting robot with three deck positions with a 96 deep well plate, INTEGRA rack for swab tubes, GripTips and the VOYAGER adjustable tip-spacing pipette

プール検査への移行

プーリング方法の調査と検査室プロトコルの作成の後、様々な濃度のWNV/EEE陽性サンプルを組み合わせて検査することによって、「概念実証」研究を実施しました。これによって、4検体を活用するプール検査により非常に低濃度の陽性サンプルでも検出できることが示されました。「検証を行ったところ、精度と感度が非常に高いことが明らかにました。私たちは2020年の夏にプール検査手順を導入しましたが、初期はサンプルのプーリングを手動で行っていました。蚊の処理は非常に手間がかかります。チューブのキャップを外す、キャップを閉める、サンプルをピペットで測り取るなど多くの手順が必要で、これらをすべて厳格な安全プロトコルに従って実施しなくてはなりません。サンプルをプーリングするという手順が追加されたことによってワークフローがさらに複雑になり、分析者は1時間以上その操作にかかり切りになることになり、高いレベルの集中力と注意力を必要としました。手動のプーリング手順を工程の最後に追加することも、品質の観点から非常にリスクが高く、私は分析者による作業ミスの可能性を心配していました。」

Aautomated pooled sample testing workflow using an ASSIST PLUS pipetting robot
Photo courtesy of Denise Bolton, Laboratory Supervisor

作業ミスの機会を減らす

手動操作による作業ミスの可能性を最小限に抑えるために、実験室はASSIST PLUS分注ロボットを利用してサンプルプーリングの工程を自動化することを決定しました。「ASSISTPLUSのことは、新型コロナウイルスサンプルの処理に使用していますので、すでによく知っていました」とデニスは語っています。「機器に付属しているVIALABソフトウェアを使えば、簡単にプーリングプログラムを作成することができ、またINTEGRAピペットは柔軟性が高いため、蚊の処理方法を変更する必要はありませんでした。私たちは、ASSISTPLUSを8チャンネルのVOYAGERチップ間隔可変ピペットとともに使用し、2mlチューブから一定分量を96ウェルプレートに移し、それぞれ4つのサンプルからなる200 µlのプールを作成します。この工程の完了後、ASSIST PLUSは、サンプルプールに溶解バッファーを直接添加し、プール全量が核酸抽出に使用されます。これによって工程が効率化でき、一旦大量のプールを作ってから一定分量を抽出用に移す必要がないので、時間が節約されるとともに、プラスチック製実験容器の使用量も減らすことができます。このようにASSISTPLUSを使用することによって、これまで手動で行っていた2つの分注段階の自動化が可能になり、実際にユーザー操作の必要性を削減することができました。」

8 channel VOYAGER adjustable tip spacing pipette

時間と経費の節約

アルボウイルス監視にプール検査を採用したことで、抽出とPCRに使用する試薬は75%削減され、監視プログラムによるPCR機器の使用も減らすことができました。「サンプルプーリングにASSIST PLUS分注ロボットを使用することにより、分析者の貴重な時間を節約することができました。何よりも重要なこととして、工程のうち最も複雑な段階が作業ミスなく実施されているという確信を持てることです」とデニスは結論付けました。

元の記事を読むにはLab Mattersをご覧ください。