感染性病原体のプール検体を自動検査することで効率と 処理能力が向上

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感染性病原体のプール検体を自動検査することで効率と 処理能力が向上

疾病の観察や診断のための検査をする前に検体をプールすることは、費用対効果が高い方法で、高価な試薬の使用量を減らせる一方で、測定感度を大幅に低下させることはありません。この方法は特に、毎日の検査に大量の検体があって、主要な試薬の供給問題が生じているCOVID-19パンデミックの下では重要になっています。ASSIST PLUS電動ピペット自動化システムVOYAGERチップ間隔可変ピペットの組み合わせにより、個々のチューブからプレートへのサンプル移動やプール段階などのサンプル調製作業の流れ全体の処理能力が向上し、手動によるミスがなくなり、解析時間を確保することができます。

有益性と課題

SARS-CoV-2やその他の感染性病原体の分析において、検査能力を高めて試薬コストを低減するために、免疫測定や分子診断などの診断検査で患者検体をプールする方法がよく使用されています。従来のプール方法では、一定数の検体を1つの容器に入れて、混ぜ合わせてから検体プールとして検査します。結果が陰性の場合、プールしたすべての検体は陰性と報告されます。陽性の場合、プールを構成する検体を個別に検査して、陽性検体を確定します。最適なプールサイズは、患者集団における標的検体の有病率によって決定され、統計的手法を用いて求めることができます(通常は4~24検体)。

この方法には次のような利点があります。

  • サプライチェーンの混乱により試薬の入手が困難な場合でも、より多くの患者を検査することができます
  • 試薬コストの低減
  • 高価な分析装置を追加するための設備投資をすることなく、サンプル処理能力を向上させることができます
  • 処理能力が向上することで、観察プログラムの一環として定期的なスケジュールで多くの患者の検査が可能になり、その結果、感染患者の早期発見が病気の拡大を防ぐことができます

ただし、欠点もあります。プール内の検体の管理と追跡が負担となり、また標的検体の希釈による感度の低下が生じる場合があります。陽性プール内の全検体を別々に再検査するには、試薬、消耗品、分析者の作業時間などのリソース追加が必要です。したがって、プールされた検査は、疾病の罹患率が3%未満の場合に最大の節約効果が得られます。検体処理の追加手順により、所要時間がわずかに増えます。

母集団における検体の有病率が著しく高くなる場合は、陽性プールの検体を再検査する必要があるため、従来の方法は多くの場合、最適な選択肢ではありません。このような場合は、2元配置プール法 を用いることで、再検査の検体数を最小限に抑えることができます。2元配置プール法は、確認分析の必要性を最小限に抑える代替的な方法です。検体をグリッドパターンで水平方向と垂直方向の両方にプールし、2つの別々のプールで検査できます。個々の陽性検体は、両プールで陽性が出た場合に直接識別されるため、確認検査の必要性を最小限に抑えることができます。

ASSIST PLUS pipetting robot sample pooling

自動化により研究がより快適かつ安全に

ASSIST PLUS電動ピペット自動化システムとVOYAGERチップ間隔可変ピペットの組み合わせでプーリング作業の流れを自動化することにより、ピペットの一貫した高さを確保し、再現性を高め、手動操作の必要性を最小限に抑えます。また、手を使わない操作時間を最大化し、作業者の安全性を高めます。

ASSIST PLUSのコンパクトな設置面積は、クリーンベンチに簡単に収まり、サンプルと使用者の両方を同時に保護します。自動化により手動分注操作が排除され、特にクリーンベンチのような限られたスペースでの作業時の反復性過多損傷(repetitive strain injury、RSI)を防ぐことができます。シングルチャネルのピペットと比較して、VOYAGERは最大12サンプルの並列移動が可能で、チップ間隔の自動調整によりさまざまなチューブラックに対応できることで、プーリングの速度が大幅に向上し、その結果、全処理能力が向上します。吸引前後の検体混合も完全に自動化されており、作業の流れに最適なサイクル数を指定できます。移動量以上の容量を使用することで、最後のプールを完全に混合することができます。

ASSIST PLUS used in a laminar flow cabinet:

結論

検体プーリングは、集団レベルの疾患スクリーニングに効率的な方法です。VOYAGERチップ間隔可変ピペットをASSIST PLUS電動ピペット自動化システムとともに使用することで、このプロセスを簡単に自動化でき、ピペット操作のエラーを最小限に抑えながら処理能力を最大化し、作業者が反復性過多損傷を発症するリスクを軽減します。さらに、この柔軟なソリューションにより、同じプラットフォーム上で核酸抽出PCRセットアップELISAなどのさまざまな下流プロセスを自動化することが可能になり、作業者の安全性を高めることができます。