コンテストの受賞者が動物を使わない毒性スクリーニングを開発

· ユーザー証言

コンテストの受賞者が動物を使わない毒性スクリーニングを開発

 

DNTOX 2022年にIUF-ライプニッツ環境医学研究所(Leibniz Research Institute for Environmental Medicine)のワーキンググループから設立され、環境、医薬品、および食品化合物が発達途上または成人のヒトの脳に損傷を与える可能性について評価するin vitro試験法を提供しています。このスタートアップ企業の神経毒性試験ポートフォリオには、独自のニューロスフェアアッセイ(Neurosphere AssayAIソフトウェアが含まれています。これらにより、手ごろな価格で、動物を使わず、わずか56週間で評価が行える化合物スクリーニングの代替法が可能になります。この画期的なアッセイは、従来の製品開発に伴うコストと時間の障壁を低くし、動物実験に関連する倫理的・福祉的な懸念を取り除きます。

DNTOX社の共同設立者で研究開発部門の責任者を務めるクリスティナ・バルトマン博士は、次のように説明しています。「幼少期の脳の発達は非常に複雑で、相互に連関した多くのプロセスから成り立っており、これらのプロセスは農薬や医薬品、食品サプリメントなどの化学物質への曝露によって容易に破綻してしまう場合があります。製造業者は、自社の化合物が発達神経毒性をもつかどうか試験することを法的に義務づけられているわけではありません。そのため、ヒトの脳に対するさまざまな物質の影響を調査した研究はこれまでほとんどありませんでした。私たちは、この大きな知識の隔たりに向き合って神経毒性による損傷を未然に防ぐためにDNTOXを設立しました。」

DNTOX社は、現在独立した自社研究室スペースを設立しているところで、近い将来、従業員を数名追加雇用する予定であることから、複数のリキッドハンドリング機器をすぐにでも必要としている状況でした。研究者たちは、IUF時代にINTEGRAのリキッドハンドリング機器や分注機をいくつか使用した経験があり、その品質、使いやすさ、多用途性から、新しい研究室にINTEGRAのピペット製品を追加導入することを熱望していました。そのため、同グループは「 INTEGRAスタートアップ企業支援(INTEGRA supports start-ups)」コンテスト(現在は終了しています)に応募し、シングルチャンネルおよびマルチチャンネルのEVOLVE手動マイクロピペット31台とECOラックGRIPTIPS®を獲得して、0.25000μlの容量を正確に分注できるようになり、大変喜ばしい結果となりました。

DNTOX
写真提供DNTOX

これまで、このグループは共有のピペットセットが少数だったため、研究室の利用者は器具が空くのを待って、その後、滅菌してから使用しなければならないということが頻繁にありました。これには非常に時間がかかり、研究室の生産性は制限されていました。チームは、獲得したEVOLVEピペットを96ウェルのプレーティングや化合物の曝露、免疫細胞化学染色、洗浄のプロトコルに使用する予定ですが、その際にクロスコンタミネーションを避けるため、容量の異なるシングルチャンネルとマルチチャンネルの機器を、リキッドハンドリングの各ステップに数台ずつ割り当てることが可能になります。各ベンチにそれぞれ専用のピペットを取り揃えておくことで、DNTOXのチームメンバー全員が並行して作業できるようになり、一度に処理できる物質やサンプルの数が大幅に増えるでしょう。クリスティナは次のようにも述べています。「私たちは現在、処理能力が中程度の研究室で、年間約120の化合物を処理することができます。新しいEVOLVEピペットとECOラックGRIPTIPSは貴重な財産です。多くのピペットを持つことで、検査プロセスを劇的にスピードアップさせることが可能になるでしょう。また、これらは非常に使いやすく快適で、クイックセットダイヤルは忙しいさなかの容量変更に非常に便利です。このユニークな機能により、私たちは日常的に多くの時間を節約し、液体処理プロセスが効率化になります。このような時間の節約は、私たちのような小さな会社にとって大きな違いを生み、最終的には、将来より幅広い顧客ベースからより多くの化学物質をスクリーニングすることができるようになるでしょう。」

DNTOX社は、さまざまなエンドポイントを調査している他の研究機関と協力することで、化学物質の曝露が胎児の脳の発達や成人の脳の機能に影響を及ぼす可能性があるすべての方法について、全体像をより完全に把握できるようにしています。このダイナミックな企業はまた、そのアッセイ技術を発達期および成人の神経毒性だけでなく、例えば心毒性や免疫毒性といった他の臓器毒性の研究にも応用しようとしており、今後数年のうちに、ヒトの発達の他の領域向けのin vitro試験法をさらに開発する予定でいます。「INTEGRAからこれらの新しいピペットを獲得できたことは私たちのチームにとって大きな励みであり、さまざまな神経毒性ハザードに関して今後拡大していく私たちの研究をサポートしてくれることでしょう。同時に、動物を使用しない毒性実験をリードし続ける上でも役立つでしょう。これはDNTOXチーム全体が非常に情熱を注いでいる目標です」とクリスティナは締めくくりました。

Mechanical pipette: EVOLVE single channel manual pipette.