VOYAGERピペットを用いて自然毒の潜在性を引き出す

· ユーザー証言

VOYAGERピペットを用いて自然毒の潜在性を引き出す

ベノテックのチームは、スクリーニングアッセイに当社のVOYAGER電動チップ間隔可変ピペットを使用して、生産効率を向上させています。ベノムテックのCSOであるスティーブ・トリム(Steve Trim)氏は次のように説明しています。「それぞれの種が持つ特有の毒には数百種類の成分が含まれています。そのため、毒を使って利用できる化合物ライブラリーは膨大であり、我々はまだその駆け出しの段階にすぎません。当社の主力製品であるTargeted-Venom Discovery Array™(T-VDA)には、関心のあるターゲットに応じて選択された12種の毒液が含まれています。各毒液を2D HPLCにより分画し、2つの異なるクロマトグラフィーカラムを順番に接続して個々のフラクションをさらに分離します。その後標準化し、384ウェルプレートに転送し、凍結乾燥して化合物ライブラリーを作成します。」

多様なアプリケーションの可能性

「当社は創薬関連を得意としており、製薬分野やバイオテクノロジー分野が主な市場となっています。学界からも関心が寄せられており、この分野では、毒物由来の化合物が新しい鎮痛薬やがん治療薬の発見を推進しています。」と同氏は述べています。「また、抗菌とエピジェネティックの研究にも携わっており、研究チームは最近のロックダウン期間中、SARS-CoV-2の相互作用についても研究していました。しかしながら、我々は殺虫剤や化粧品の開発など、多くの流通市場を抱えています。近年では、センスアモーンP5(SensAmone P5)と呼ばれる鎮静作用のある生体模倣ペプチドを開発しました。センスアモーンP5は敏感な皮膚を鎮静させ、疼痛受容体を遮断することにより刺激を軽減します。すでにボトックス施術で使われている合成ヘビ毒もあり、今年はさらに複数の製品を発売する予定です。これらの製品については、最終化粧品に動物性のものが含まれないように毒性作用を理解したあとに、合成版を作る必要があります。​害虫駆除市場では、多くのクモ毒が殺虫剤として発展してきたため、土壌中で生物濃縮しない生物由来の殺虫剤や、送粉者ではなく害虫のみを標的にした殺虫剤に使用する良い機会となっています。

Access tube racks

調整可能なチップ間隔による効率的な分注

ベノムテックのチームは、T-VDAの生産にVOYAGER電動チップ間隔可変ピペットを使用しており、ストレージからアッセイプレートへの毒由来ストックの正確な分注を可能にします。スティーブ・トリム氏はINTEGRAを選んだ理由を次のように述べています。:「生産工程は96ウェルストックプレートから始まり、そのあとに384ウェルアレイプレートにリフォーマットする必要があります。チップ間隔を電動で調整でき、片手で操作できることがVOYAGERを選んだ大きな理由です。これまでさまざまなメーカーのピペットを使用してきましたが、VOYAGERは装置の性能だけでなく、サービスやサポートの良さでも突出していました。正確で軽量、かつ静かなモーター駆動は大きな特徴であり、現在使用する電動ピペットやマルチチャンネルピペットはすべてINTEGRA製です。連続分注機能は我々のワークフローで非常に重要な機能であり、毎回リザーバーを往復する必要がなく、プロセスを大幅に高速化することができます。一方で、段階希釈機能は異なる濃度の標準試料を作成するのに最適です。VOYAGERとGripTipsを組み合わせて使うことで、チップが緩む心配がなく、完璧なフィット感を実現します。これにより、常に正確な容量のストックと標準試料をピペッティングしているという確信が得られます。」

成長と研究開発をサポートする手頃な価格のピペッティングプラットフォーム

ベノムテックのチームは、VOYAGERを用いて液体を段階的に希釈し、異なるサイズのプレートにリフォーマットする日常的な作業に加えて、研究開発と品質管理のすべての作業にこれを使用しています。同氏は次のように続けます。「小さなバイオテクノロジー企業としては、成長過程において大きなロボット型装置を導入する資金がないため、VOYAGERは非常に頼れる存在となっています。VOYAGERは、電動ピペットの使用に慣れていなくても非常に直感的に使用でき、近くのクライストチャーチ大学の大学院生数名も、最低限のトレーニングで使用できるようになりました。例えば、作業中に常にピペットを見ている必要がなく、もし、384ウェルプレートの分注が途中で中断した場合は、分注カウンターが付いているのでその場所を確認できます。INTEGRAのサービスチームにも非常に満足しています。VOYAGERを購入したのは7年以上前ですが、点検に持ち込んだのは1度だけです。これは使用頻度を考えると素晴らしいことです。」と同氏は語っています。

Steve Trim, CSO of Venomtech, using the VOYAGER adjustable tip spacing electronic pipette
Photo courtesy of Venomtech