半自動化ソリューションによるインフルエンザとSARS-CoV-2検査のための能力の実装

· ユーザー証言

半自動化ソリューションによるインフルエンザとSARS-CoV-2検査のための能力の実装

NHPHLは、インフルエンザや、はしか、おたふく風邪、HIV、梅毒、C型肝炎など、膨大な数の公衆衛生上重要な感染症の検査を行っています。世界的パンデミックに見舞われた2020年初頭、検査室は日常業務に加えて、大量かつ迅速な検査納期のCOVID-19検査を実施しなくてはならなくなり、SARS-CoV-2検査実施数は急速に増え、1日当たり約800~1,000件に達しました。NHPHLのウイルス学/STD検査室管理者であるJessica L. Alexander博士は次のように説明しました。「パンデミックが始まったとき、私たちのスタッフは既存の手動ピペットを使った膨大な数のサンプルに毎日苦労し、処理しきれない検査がたまっていきました。そこで私たちはSARS-CoV-2検体の処理にASSIST PLUS分注ロボットを早期に採用しました。この自動化なしには、私たちは膨大な検査数をこなすことも、迅速な検査納期の要件を満たすこともできなかったでしょう。」

ASSIST PLUS pipetting robot with three deck positions, with the Fluidigm 192.24 Dynamic Array IFC, a 96 well plate, GripTips and the VOYAGER adjustable tip spacing pipette.

COVID-19検査需要の高まり

2020年11月に検査室の仕事量は1日当たりの件数が約2,000と再び激増し、検査数は数か月間、高止まりしたまま推移しました。そのため、施設と人員に大きな負担がかかり、検査室の既存ワークフローの処理能力を超えてしまいました。これに対処するため、NHPHLはMINI 96ポータブル電動ピペットを購入しました。「PCRプレートのセットアップにMINI 96を導入したことによって、ワークフローが高速化され、分注ミスと実作業時間が削減されました」と、Jessica氏は続けました。「私たちはそれを毎日使っていて、本当に作業性が一変しました。」

インフルエンザ/SARS-CoV-2アッセイの自動化

2022年初頭にASSIST PLUS用のD-ONEシングルチャンネル分注モジュールが発売されました。NHPHLは、この製品が米国疾病予防管理センターのインフルエンザSARS-CoV-2(Flu SC2)rRT-PCRマルチプレックスアッセイに適しているかどうか評価しました。この評価の結果は、2022年5月に開催されたAssociation of Public Health Laboratories(公衆衛生研究所協会)の年次総会でポスター要旨として発表されました。NHPHLウイルス学研究室の科学者であるPedro Tirado Velez氏は次のように説明しました。「私たちは過去に検査したSARS-CoV-2陽性の5検体の段階希釈液を調製しました。ASSIST PLUSとD-ONEを使用してマスターミックスを調製しプレートに入れた後、MINI 96を使用して抽出RNAを添加しました。5日間にわたって5複製の検体を検査し、合計125の検査を実施しました。マスターミックス調製を手動で行い、プレートのセットアップに電動ハンドヘルドピペットを使用して得られた結果とPCRの結果を比較しました。

この試行により、ASSIST PLUS分注ロボットのD-ONEモジュールをMINI 96と組み合わせることによって、信頼性の高い自動化インフルエンザ/SARS-CoV-2マスターミックス調製や、PCRプレートのセットアップ、PCR反応プレートへの96検体の1段階添加が可能になることが示されました。この自動化プロセスは100%の精度を示し、Ct値は手動手順と比べて平均0.43サイクル高くなっていました。変動係数も、手動プレート準備の0.52パーセントに対して0.39パーセントでした。また、半自動化システムを使用すると、合計実作業時間の短縮は27%に上り、技師は空いた時間に他の職務を行うことが可能になりました。また、分注ミスのリスクも低減されました。Jessica氏は次のように話しました。「これまでの手動PCRプレートセットアップと比較して、このプラットフォームの精度が向上していることに感銘を受けました。特に、全ゲノムシーケンシングのワークフロー自動化に利用したいと考えています。」

Evaluation of D-ONE and MINI 96 for semi-automated set-up of Flu SC2 rRt-PCR assay

効率的なSARS-CoV-2検査プロセス

ASSIST PLUSロボットは、使いやすいVIALABソフトウェアで容易にプログラムでき、ノートパソコンからロボットを制御できます。このため、調製するマスターミックス反応液の数を仕事量の変化に応じて容易に変更することが可能となり、品質保証のための実行後レポートも容易に作成できます。Pedro氏は次の点を付け加えました。「ASSIST PLUS、D-ONE、MINI 96装置の使用経験は素晴らしいものでした。それぞれの装置は検査室のSARS-CoV-2検査プロセスにおける固有の課題に対処し、効率的な検査の実施を可能にしました。」

ASSIST PLUSとMINI 96を使用した自動化により、従業員のメンタルヘルスも改善され、長時間立ったまま繰り返し作業を行うことによる身体的負担の軽減に役立ちました。また、このシステムは、潜在的病原体への曝露を抑制し、汚染リスクを減らして、NHPHLにとって優先すべき重要事項である従業員の安全を守ります。「SARS-CoV-2によって私たちの仕事量が増加し、これは、私たちのスタッフにとって大きな身体的、精神的負担となりました。ありがたいことに、INTEGRAの技術によってプロセスの多くの部分を自動化することができ、従業員の健康全般に大きく寄与しました」と、Pedro氏は締めくくりました。

New Hampshire Public Health Laboratories uses the ASSIST PLUS and MINI 96 to automate part of its influenza and SARS-CoV-2 testing process
Photo courtesy of New Hampshire Public Health Laboratories

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  • Carol Loring

    Field application specialist and business development

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