専門家からのアドバイス:MTTアッセイのための試薬分注に関する手引き

· 製品ニュース

専門家からのアドバイス:MTTアッセイのための試薬分注に関する手引き

INTEGRA Biosciencesのプロダクトマネージャーでバイオテクノロジストのジェラルド・ポッシュは、見過ごされがちながら実験の成否を左右する重要な細部の最適化を専門としています。ジェラルドはウィーンのUniversity of Natural Resources and Life Sciencesで、酵素反応速度論の研究、細菌の細胞表面特性の評価、細菌のグリコシル化(タンパク質のダイナミクスに影響を及ぼす、タンパク質への翻訳後糖鎖付加)の研究に取り組み、修士号と博士号を取得しました。ジェラルドは、INTEGRAに着任する前、アルバータ大学とバイオ医薬品業界で5年間のポスドク研究を行い、その間グリコシル化反応に関する専門知識をワクチン開発に応用しました。細部に目を光らせるジェラルドとINTEGRAのチームは、創薬の最前線にいる研究者らと話し合いを重ね、MTTアッセイなどの一般的なアッセイで試薬分注を行う際の面倒な問題点を緩和する革新的なソリューションとして、WELLJET試薬ディスペンサーを開発しました。

Gerald Posch

試薬ディスペンサーを使用することで、MTTアッセイのデータはどのように改善されますか?

MTTアッセイに必要な、細胞と各種溶液の分注には高いレベルの一貫性が求められますが、単純にピペットを使用して手作業でこのアッセイをセットアップした場合、この要件を満たすことができない可能性があります。ですが、自動分注機があれば、データの再現性と一貫性が向上します。WELLJETは、ディスペンサーのポンプユニットに内蔵されたローターを介して液体を送り出すペリスタルティックポンプシステムを採用しています。他の試薬ディスペンサーとは異なり、WELLJETは射出成形されたシリコン製のEasySnap™カセットを使用しているため、カセット内のすべてのチューブの寸法が同じになっています。EasySnapカセットのこの設計上の特長とペリスタルティックポンプが組み合わさることで、カセットのすべてのチャンネルで一貫性の高い試薬分注が実現し、マルチウェルプレートの各ウェルに確実に同じ量の試薬が正しく分注されます。これにより、ウェル間のばらつきがなくなり、実験の正確性が確保されます。シリコンチューブ内の液体は装置やポンプ部品に触れないため、実験の無菌状態を維持することが可能です。WELLJETは、ボトル、フラスコ、チューブなど、あらゆるタイプの実験容器から液体を吸引し、6ウェルプレートから1536ウェルプレートまでのあらゆるサイズのマルチウェルプレートに液体を分注できます。そのため、さまざまな実験や、実験段階の固有のニーズに合わせて試薬ディスペンサーを調整することが可能です。

細胞生存率の変化は、MTTアッセイの結果に影響を及ぼす可能性があります。試薬ディスペンサーの使用は、細胞生存率の最適化にどのように役立ちますか?

主な利点は、プロセスが非常に穏やかであることです。細胞は、シリコンチューブを通って非常に弱いせん断力で送り出されるため、壊れやすい細胞株にも最適です。分注カセットには、大口径と小口径の2種類を用意しています。大口径分注カセットは、シリコンチューブの口径が広いだけでなく、分注ノズルの開口部(オリフィス)も広くなっています。これまでずっとピペットを使用してきて、まだ試薬分注の経験がないものの、細胞分注を始めたいと考えている方に最初に推奨するのは、開口部の広い大口径の分注カセットを使用することです。これは、特に細胞の感度や脆弱性が不明な場合に、細胞にとって良い環境を提供することができます。一方で、お客様の中には、壊れやすい細胞株に小口径カセットを使い、速い分注速度で実行してうまくいったという事例もあります。

細胞を分注する際、他にどのようなことを考慮すべきですか?

細胞の種類によってトラブルシューティングの対象となるものが大きく変わってきますが、一般的には分注速度が重要です。WELLJETには、高速、中速、低速の3種類の速度設定があり、高速設定でも良い結果が得られています。ですが、細胞の生存能力がそれほど高くないことがわかった場合は、速度を遅くしてさらに最適化する必要があります。また、他のトラブルシューティング方法として、プレートから分注モジュールまでの高さが影響する場合があります。適切な高さを見つけたり、この高さを低くしたりすることで、壊れやすい細胞でも優れた結果が得られることがあります。

カセットの寿命を最大限に延ばすには、分注カセットをどのように手入れすべきですか?

カセットは再利用可能です。分注可能なプレートの枚数で数えた場合、100マイクロリットルの分注で96ウェルプレート2000枚分が標準的な寿命です。その後、カセットを交換することをお勧めします。INTEGRAでは滅菌カセットを提供していますが、カセットを最適な状態に保つには、分注作業が終わるごとにカセットを適切に洗浄することが重要です。分注した細胞溶液、バッファー、化合物には細胞やタンパク質、塩が含まれているため、特に分注ノズルの先端部分でカセットの詰まりが起こることがあります。脱イオン水と中性洗剤を用いて細胞溶液を完全に洗い流すことをお勧めします。その後、洗剤を水で洗い流し、次に細胞分注を開始する際にチューブやカセット内に洗剤が残っていないようにする必要があります。洗浄後は、消毒剤でカセットをすすぐことをお勧めします。これらのステップ用に洗浄プログラムを設定することができます。その際、ユーザーがチューブを別の実験容器に動かす必要があるため、プロセスが完全に自動化されるわけではありませんが、カセットのクリーニングプログラムをお客様に定義していただけます。あるいは、カセットをオートクレーブ処理して無菌状態を維持することもできます。

The EasySnap dispensing cassette with features

自動ワークフローで試薬分注をどのように活用できるのでしょうか?

分注プロセスは自動化されており、さらにスタッカー式ディスペンサーを使用した場合は、大量のプレートへの細胞や試薬の分注を処理できます。その意味で、これらの装置は単独で機能する機器と言えます。しかし、アプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)コマンドを使用して、WELLJETを自動ワークフローに統合することも可能です。弊社では、インテグレーション会社による弊社システムとの通信に対応した装置およびAPIコマンドを提供しています。これにより、完全に自動化されたシステムで装置を稼働させる指示が始動されます。インテグレーション会社の中には、異なるプロバイダーの装置を組み合わせて協調して動作させるようにできるところもあります。フルセルベースアッセイを例にとると、WELLJETは細胞または試薬の分注のみを行いますが、試薬分注の合間に光学読み出しやインキュベーションステップを行いたい場合もありあります。その場合、この作業は、インテグレーション会社が提供するロボットアームとマスターソフトウェアで処理できます。ロボットアームは、マルチウェルプレートをある装置から別の装置へと移動させ、移動先の装置でのプロセスを開始します。最終的には、アッセイ全体を自動化することも、医薬候補化合物スクリーニングプラットフォーム全体を自動化することも可能です。

他にどのようなアプリケーションで試薬ディスペンサーを使用できますか?

ほとんどすべてのアッセイに、何らかの試薬分注またはリキッドハンドリングが必要です。そのため、試薬ディスペンサーはほとんどすべての実験に役立ちます。WELLJETは、マルチウェルプレートのプレート寸法と様々なウェル配置を定義した標準フォーマットであるANSI/SLASフォーマットに適合したプレートに対応しています。ユーザーは1枚のプレートから始めて、複数のプレートにスケールアップでき、さらに高いスループットが必要な場合は、スタッカー式の装置に切り替えることができます。どちらの装置も設置面積が非常に小さく、クリーンベンチ内に収まるように設計されています。

Compact, affordable, fast, and precise. The WELLJET dispenser (left) and dispenser stacker (right) will revolutionize your workflow of dispensing reagents into microwell plates.

WELLJET試薬ディスペンサーの最も革新的な特長は何ですか?

最も革新的な特長は、EasySnap分注カセットだと思います。これは、成形シリコンチューブを使用しているため再キャリブレーションが必要なく、お客様のコストを削減するとともに、すべてのチャンネルで高い正確性と再現性を実現しています。また、WELLJETは、大きくて操作しやすいインターフェイスと、非常に円滑で精密なメカニズムを併せ持つ点が、他の試薬ディスペンサーとは異なる秀でた特長です。私たちは、非常にコンパクトな装置にできる限り多くの技術を詰め込んでいます。機能性を犠牲にすることなく可能な限りコンパクトな装置を作るのは、常に難しい課題です。私たちは外に出て研究者の皆さんと話をし、既存のソリューションの問題点や、新しいソリューションでそれらの領域をどのように改善できるかを把握しています。私たちは単に違う製品を作ることを目指しているわけではなく、私たちが開発するものがイノベーションの最前線にあるようにしたいと考えています。最後に。お客様と話をして、それが効率、データ生成、信頼性、一貫性の面でどのように役立っているかを知ることは、とてもエキサイティングなことです。

このトピックに関する詳細情報をご希望の場合は、試薬分注のMTTアッセイへの応用に関する当社のテクノロジーガイドをダウンロードしてください:

ダウンロード

Drug Discovery Newsと共同で作成されました。

, by

  • Gerald Posch, PhD

    Product Manager

    メール