· ユーザー証言

自動リキッドハンドリングによるゲノムワイド加齢研究の改善

加齢に伴って細胞プロセスがどのように変化するかを理解することは、加齢に伴う疾患を解明する上で極めて重要な知見をもたらします。しかし、何千ものサンプルを効率的かつ確実に処理する必要があるため、これらのメカニズムを全ゲノム規模で研究することは困難です。スウェーデン・ウメオ大学のAndreas Kohler助教とVerena Kohler助教は、彼らの研究チームとともに「Flexible Aging Screening Technology(FAST)」というプラットフォームを開発し、加齢プロセスのゲノムワイドなハイスループットスクリーニングを可能にしました。両氏は、INTEGRAのWELLJET試薬ディスペンサーと2台のMINI 96ポータブル電動ピペットを使用することで、リキッドハンドリングにおける主要なボトルネックを克服し、手作業による反復作業やヒューマンエラーを減らすと同時に、プレート調製とサンプル処理の速度を劇的に向上させました。

老化の分子メカニズムを探る

老化は細胞機能を変化させる分子プロセスの変化を伴いますが、その根底にあるメカニズムは十分に理解されていないことが多いのが現状です。Andreas氏は、自身の研究室が持つ「ミトコンドリアタンパク質の品質管理を維持するメカニズム」に関する専門知識と、Verena Kohler助教の研究室が持つ「細胞全体におけるプロテオスタシスとタンパク質の品質管理」に関する専門知識を融合させ、老化の分子生理学を研究しています。これらのシステムが時間の経過とともにどのように変化するかという共通の関心から、研究者らは老化プロセスのゲノムワイドスクリーニングを行うための多用途なアプローチであるFASTプラットフォームを開発しました。

ミトコンドリアの生物学は加齢研究において特に重要であり、ミトコンドリアタンパク質の品質管理に関する問いは、アルツハイマー病やパーキンソン病などの加齢に伴う疾患を理解する上で根本的なテーマとなっています。Andreas氏は次のように説明します。「ミトコンドリアの内部で産生されるタンパク質はその一部が呼吸鎖を形成しているにもかかわらず、これらがどのように維持され、組み立てられる前の品質チェックがどのように行われているのかについては、ほとんど分かっていません。地球上のすべての好気性生命体の核心について、私たちが依然としてわずかなことしか知らないということに、私は魅了されています。」

写真提供Umeå University
写真提供Umeå University

ハイスループットなプレート調製のボトルネックを解消

FASTプラットフォームは、細胞の自動培養および継代、ならびに個体培地上での細胞増殖の評価が可能なロボットシステムを中心に構築されており、研究チームは数千もの異なる細胞株を分析できます。しかし、この規模での運用は、プレートの調製において大きなボトルネックとなりました。1つのゲノムワイドライブラリーには約6,500の株が含まれることがあり、数千枚のプレートに培地を分注する必要があります。これを手作業で行うと、退屈で反復的な作業に何時間も費やすことになります。

Andreas氏は次のように説明します。「INTEGRAのWELLJET試薬ディスペンサーは、これらのプレート分注を完全に自動化するための理想的なソリューションでした。プログラムの作成が非常に素早く簡単で、私たちの全体的なアプローチが大幅に簡素化され、ボトルネックが完全に解消されたため、本当に優れたツールと言えます」

研究チームにとってWELLJETの特に魅力的な機能の1つは、統合されたプレートスタッカーです。これにより、追加のロボット機器を使用することなく、大量のプレートを処理できます。「他のシステムであれば、追加のロボットが必要になるか、何らかの方法で適合させる必要があったでしょう。WELLJETは設置面積が非常に小さく、他の自動化システムと接続する必要がありません。これらの大きなメリットにより、当社のワークフローにシームレスに統合できます。また、さまざまなラボウェアに対する柔軟性も非常に高く、既存のプレートをすべて変更なしで使用できます」

ハイスループット研究をより持続可能にする

スループットの向上だけがチームの優先事項ではありません。研究者らは、数千個のサンプルを処理することで大量の使い捨てプラスチック廃棄物が発生する、大規模スクリーニングの環境負荷を最小限に抑えることにも熱心に取り組んでいます。中核となるロボティクスプラットフォームでは、使い捨てのプラスチック製ピペットチップの代わりに、再利用可能な金属製ピンを使用して細胞を継代し、ピンは使用後に滅菌されます。

廃棄物削減を重視していることも、INTEGRA製品がAndreas氏と他のチームメンバーにとって魅力的であったもう1つの理由です。「私たちはできる限りプラスチック廃棄物を削減するよう努めています。他のロボットシステムの中にはピペットチップを使用するものもありますが、WELLJETには再利用できる滅菌可能なカセットが付いているため、ピペットチップは一切不要です。また、カセットの寿命は非常に長く、交換が必要になるまでの期間が長いため、リソースを節約できます。」

写真提供Umeå University
写真提供Umeå University

自動分注によるリフォーマット作業の改善

チームが直面したもう1つのボトルネックは、プレートのリフォーマットでした。細胞は増殖に必要な通気性を確保するために96ウェルプレートで培養され、その後、ハイスループット分析のために384ウェルプレートに転送されます。この2つ目のボトルネックは、2台のINTEGRA MINI 96ポータブル電動ピペットによって解決されました。

Andreas氏は次のように説明します。「以前はすべての移し替えをマルチチャンネルピペットで行っていたので、1枚のプレートに最速でも10~15分かかっていました。MINI 96を使用すれば、数秒で完了します。私たちは125 µlと300 µlの両方のピペットを使用していますが、2種類のプレート間での液体の移し替えや、フローサイトメトリーの染色ステップを行うのが非常に簡単になりました。」このような反復の多い作業を自動化することで、研究者は自身の研究により多くの時間を費やすことができるようになり、大規模なスクリーニング実験中のエラーを最小限に抑えることにもつながっています。「フォーマットの変更は非常に反復の多い退屈な作業ですが、ミスを避けるために集中しなければならず、フラストレーションの溜まるワークフローになることがよくありました。MINI 96によってこれが非常に簡単になり、重要な点として、ヒューマンエラーの一因を取り除いてくれました。」

専門的なサポートに裏打ちされたシームレスな統合

Andreas氏は、特に互換性の問題が発生した際の、INTEGRAによるサポート体制に感銘を受けています。「すぐには解決できない問題が発生したのですが、INTEGRAが持ち帰って検討し、エンジニアが解決してくれたのです」研究チームは、ワークフローに適したリザーバーやその他のラボウェアの選定に関するアドバイスを含め、INTEGRAの専門知識から継続的に恩恵を受けています。WELLJETとMINI 96がFASTプラットフォームの主要な液体ハンドリングのボトルネックを2つ解消した現在、研究者らは重要なハイスループットスクリーニングに集中し、老化やミトコンドリア機能の根底にある分子プロセスについての理解を深めています。

WELLJET試薬ディスペンサーは、低コストで迅速かつ正確な試薬分注を必要とするさまざまなアプリケーションに対して、優れたユーザーエクスペリエンスと柔軟性を提供します。このディスペンサーがどのように研究室のプロセスを合理化できるか、詳細をご覧ください。

MINI 96は、ライフサイエンス分野の幅広いアプリケーションに適した、手頃な価格の96チャンネル電動ピペットです。このピペットがほぼすべてのラボの生産性をどのように向上させることができるか、詳細をご覧ください。

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