細胞生物学や分子生物学のワークフローでピペット作業を楽に

· ユーザー証言

細胞生物学や分子生物学のワークフローでピペット作業を楽に

芳香族炭化水素受容体は、環境、食事、微生物、疾患、薬剤関連の分子など、さまざまな分子信号に対する細胞内センサーとして機能するリガンド活性化型の転写因子です。この重要なセンサーは、細胞、組織、有機体の発生、維持および恒常性に大きく関わるプロセスを調節しています。このことからセンサーの制御と機能は、多様な免疫応答、組織再生、異種物質代謝と結びついています。また、炎症性疾患やがんなどの病態との関連も指摘されており、恒常性の乱れに応答してAHR経路の調節することで、治療効果に影響を与える可能性があります。

AHR経路の解明

AHRは感染症とがんの両方に関与している可能性があるためi3SImmune Sensing and Signaling Dynamics group/ImmunoHUBはこれに非常に注目を寄せています。 研究員のSérgio Marinho氏はこう語ります。「AHRは、様々な病態によって発現が変化する特異的な分子の存在を感知します。このような分子を認識すると、AHR経路が活性化され、TNF-α、NF-κB、MAPキナーゼなどの多様なシグナル伝達経路と相互作用し、標的を定めた応答が起こります。AHRは様々なリガンドを感知することができるため、細胞はその微小環境を監視するために利用し、微生物群や腫瘍の状態の変化を識別するための分子信号を提供するとともに、恒常性の潜在的な不均衡に宿主が反応できるようにしています。また、治療薬もこの受容体によって認識されるため、AHRは薬物代謝にも関与し、その調節が治療の成功を左右する可能性があることを我々のグループや他の研究者によって明らかになっています。私たちは、特に多剤耐性菌が問題となっている感染症の影響の理解を図るため、また、化学療法が成功したかに見えた一部のがん患者においてがんが再発する理由を研究するために、この調節に関する基礎研究を行っています。」

Sergio Marinho

ピペット作業を楽に

このような細胞ベースの研究は複雑であるため、細胞培養の維持と、大規模な化合物スクリーニングを含む実験のセットアップの両方のために、研究室では日常的にリキッドハンドリングが行われており、作業は長時間に及ぶ場合が多くなります。こういった作業は、正確で精密であるだけでなく、研究室のスタッフに不必要なストレスを与えないよう、人間工学に基づいていなくてはなりません。Sérgio氏は続けます。「細胞生物学や分子生物学の研究作業には、かなりの数のリキッドハンドリングが含まれます。また、私たちはウイルス導入も行っており、これには多くのステップの細胞操作が必要となります。PIPETBOY acu 2ピペットコントローラーは、人間工学に基づき、非常に軽量で、信頼性と堅牢性が高いうえ、現在研究室で使用している種々のセロロジカルピペットに対応しているため、我々のセロロジカルピペットのニーズにぴったり合致しています。また、電池の寿命も長く、これは毎日何時間もピペット作業を行う場合には欠かせない要素です。私たちは毎日使っていますが、その性能にとても満足しています。また、INTEGRAのVACUSAFEアスピレーターも使用しています。これは、マイクロプレートでの細胞培養アッセイに最適なシステムです。8チャンネルのチップアダプタを使っているため、8ウェル分を一度に吸引でき、作業の手間を大幅に省いてかなりの時間を節約できます。これらの装置は、私たちの研究室になくてはならない存在です。」