研究者の最高の相棒–イヌのエピゲノムを解明して腫瘍学を推進

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研究者の最高の相棒–イヌのエピゲノムを解明して腫瘍学を推進

イヌのがん研究を加速

獣医科大学内のCho研究室は、ヒトとイヌ双方におけるがんの病因の理解を深めることを目的に、トランスレーショナル研究の一環としてイエイヌに見られる自然発生腫瘍を研究しています。ヒトのがん研究に変革をもたらした膨大な量のNGSデータが獣医学にはなく、この韓国の研究室はイヌのNGSデータセット数を同様に増やすべく、初めてマッピングされたイエイヌのエピゲノムを発表しました1。現在彼らは比較医学戦略の一環としてオルガノイドを使用したがん生物学の研究にこのデータを使用し、有意義な観察を可能にしています。

Cho研究室の研究者はVACUSAFEコンパクトバキュームシステムVACUSIPポータブルアスピレーターを、細胞培養管理、サンプル抽出、およびNGSライブラリー調製の様々な段階に使用しています。この研究室の設備管理者であるBorris D. Aldonza氏は次のように説明しています。「私たちの関心の中心はヒト以外の哺乳動物における自然発生がんの生物学的発生について研究することにあり、獣医科大学内という立地から数多くの多様なサンプルを入手することができます。毎日行っているタスクの1つは微量吸引で、コンパクトなVACUSAFEとVACUSIPシステムは吸引技術を細かく制御することができ、イエイヌの最初の標準エピゲノムの発表に成功するなど、NGS研究のサポートに必要な精度を提供しています」

Borris Aldonza
写真提供ソウル大学獣医学部

効率的で正確なオルガノイド維持のための吸引システム

Cho研究室はオルガノイド培養物を用いて、がんの進行時にイヌのエピゲノムがどのように変化するかを研究しています。Borris氏は次のように続けました。「私たちはミッシングリンク(一次データ)を取得して、より信頼性の高いイヌ中心の治療判断と、ヒトのオルガノイドとの比較においてより有意義な観察を可能にするために、がんに罹患したイヌモデル由来のオルガノイドを作成しています。真空吸引システムを含めてすべてのベンチトップ細胞培養機器は、細胞培養、培養維持、基本的なサンプル採取関連作業を含むオルガノイド研究に使用されています。以前INTEGRAの真空吸引システムを使用したことがあり、施設開設にあたり最初の機器を選ぶ際に、細胞培養スペースにはそれらのシステムが必要だとわかっていました」

さらに、以下のようにも述べています。「従来の吸引システムはフットペダルで吸引を制御していたため、意図せず廃液と一緒にオルガノイドを吸引してしまうことがありました。これに対し、VACUSAFEのVACUBOY吸引ハンドオペレーターは真空フローを精密に調整できる指作動式のバルブを備えており、指先による繊細な制御が可能です。また、VACUSAFEは複数の真空度設定が可能で、吸引力の強さを調節することができるので、オルガノイドのような貴重なサンプルの繊細な取り扱いに最適です。吸引速度の操作も非常に優れているので、微量吸引の正確性が著しく向上しました。VACUSIPはサンプルから残っている液体を完全に吸引することができます。これは手動のピペット作業では不可能です。サンプルがマイクロプレートでもPCRプレートでも時間を大幅に節約できるので、毎日の微量吸引作業に最適です」

VACUSIP

INTEGRAの製品で今後の展開をサポート

「私たちは現在、細胞培養能力とオルガノイド研究プロジェクトを増やすために研究室の拡張を計画しており、この成長を支援するためにINTEGRAから吸引システムをさらに購入する予定です。研究室は、増加する作業負荷の管理に役立つ、より効率化されたリキッドハンドリングシステムの導入にも前向きです。特に、私たちはイヌとヒト由来のオルガノイドに対して何千もの低分子化合物の豊富な薬物スクリーニングデータを提供することを目指しているので、MINI 96ポータブル電動ピペットはこれをサポートするのに最適な候補となるでしょう。INTEGRAの製品はこれまで私たちが大きな成果を達成するのを支えてくれました。この堅牢で信頼性の高い機器を使用して、私たちはこれからも比較腫瘍学の分野を前進させ続けたいと思います」と、Borris氏は締めくくりました。

参考文献

  1. Son KH, Aldonza MBD, Nam AR, et al. Integrative mapping of the dog epigenome: reference annotation for comparative inter-tissue and cross-species studies. bioRxiv. オンライン掲載2022年7月22日:2022.07.22.501075. doi:10.1101/2022.07.22.501075