パンデミック後のINTEGRA分注機の使用法についての調査結果

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パンデミック後のINTEGRA分注機の使用法についての調査結果

SARS-CoV-2ウイルスが突如発生したことにより、あらゆる規模の臨床研究所がすべてを中断し、PCR検査の迅速な実施に切り替える必要に迫られました。日々押し寄せる膨大な数の検体を手作業で処理するのは不可能であることはすぐに明らかになりました。そのため、多くの実験室は、スタッフの恒常的な病欠や症例数の散発的なピークにもかかわらず、処理能力を向上させ、短い検査所要時間を維持できるソリューションを求めてINTEGRAに目を向けました。

パンデミックがある程度収束した今、実験室は再び他の重要な業務に力を注ぐことができるようになりましたが、パンデミック発生時の迅速検査のただならぬ需要に対応するために入手した機器はどうなっているのでしょうか。今でも使われているのでしょうか。それとも、実験室の片隅で忘れられて戸棚の中に眠っているのでしょうか。最近、これについての調査を実施しました。

さまざまな新しいアプリケーションへの対応

調査の結果、パンデミック発生以前は、回答者の半数がすべてのリキッドハンドリングステップを手作業で行っていたことが明らかになりました。そして、手作業だけでは対処しきれない、毎日送られてくる膨大な数のサンプルに対応するために、当社の分注機と電動ピペットを購入されたことが分かりました。VOYAGERチップ間隔可変電動ピペットVIAFLO 96 ・VIAFLO 384電動プレート分注機VIAFLO軽量電動ピペットMINI 96ポータブル電動ピペットが選ばれ、75%の実験室がASSIST PLUS分注ロボットを用いた完全自動化を選択していました。

Respondents gained a variety of INTEGRA platforms and devices during the pandemic to handle high sample numbers.
回答者はパンデミック時の大量の膨大なサンプル数に対応するため、さまざまなINTEGRA分注機と電動ピペットを入手していました。

今回の調査では、これらのお客様の中には、購入した製品を現在も新型コロナウイルス感染症の検査用に使っている方もいれば、他の幅広い用途に使い始めている方もいることがわかりました。そのような用途には、核酸抽出やNGSライブラリー調製などの遺伝学研究に用いられるサンプルの準備、リフォーマット、移し替え、さらにはヘモクロマトーシス、血液凝固第V因子、プロトロンビン遺伝子における変異の調査などが含まれます。

The ASSIST PLUS pipetting robot with a VOYAGER adjustable tip spacing pipette used for sample transfer.
検体の移し替えに使用するASSIST PLUS分注ロボットとVOYAGERチップ間隔可変電動ピペット

他の実験室では、薬剤耐性研究や婦人科医療の検査、呼吸器感染症パネルなどの生化学的分析にINTEGRAの新製品を応用しています。ASSIST PLUSは、特にサル痘やSTIなどの罹患率の高い疾患のハイスループットアッセイの自動化に極めて有効であることが分かっており、回答者の半数以上が現在も毎日使用しています。ほとんどの実験室は、新型コロナウイルス感染症の検査に使用しなくなった分注ロボットを他の用途に転用するのは容易だったとコメントしています。

時を超えて受け継がれるメリット

ASSIST PLUSがパンデミック後も実験室のワークフローに欠かせない存在であり続けているのはなぜでしょうか。お客様からは、この汎用性の高い分注機による自動化の最大のメリットは、オペレーターのミスを減らし、結果の一貫性、正確性、再現性を高めることができる点であるとの評価をいただいています。また、分注ロボットで手間と時間のかかる液体の移し替えを自動化することにより、少ない人員で多くの検体を処理することができ、実験室の処理能力を高めることができるという点も挙げています。

ピペットソリューションの柔軟性や適応性、さらには付属のソフトウェアを簡単にプログラミングできることも、お客様から多く寄せられたメリットでした。また、直感的でわかりやすいため、経験の浅いスタッフでも一度電動ピペットをプログラミングすれば、すぐに使いこなせるようになるとの好評も頂いています。この特徴により、トレーニングに必要な時間が短縮され、新型コロナウイルス感染症発生時に従業員数が減少した場合でも、実験室は最小限のダウンタイムで高い検査処理能力を維持することができました。

以上の利点に加え、調査回答者は電動ピペットの設置面積が小さいことを利点として挙げ、当社製品を使用することで分注機の冗長性とワークフローの標準化を実験室に導入することができたと述べています。

予測不可能な事態に直面した実験室の将来の保証

このようなパンデミック時の有益な経験に基づき、調査回答者の92%がアレルギーや感染症の検査、ファーマコゲノミクス、ターゲットゲノムシーケンス、薬剤耐性に関する研究など、今後数年間でさらに重要なアプリケーションにASSIST PLUSを使用する予定であると回答しています。さらには、新しいD-ONEシングルチャンネル分注モジュールについて知っている回答者の3分の2は、このモジュールが今後新型コロナウイルス感染症以外のプロジェクトに役立つだろうと回答しています。D-ONEモジュールが発売される以前は、ASSIST PLUSはマルチチャンネルピペットの自動化しかできませんでした。現在、この分注機は、連続希釈やサンプルのノーマライゼーション、ヒットピッキング(チェリーピッキング)、複雑なプレートレイアウトのピペット作業等のタスクを含む無限のアプリケーションが可能であり、ハイスループットPCR検査以外でも使用できる汎用性を実証しています。

D-ONE Single Channel Pipetting Module, 0.5-300 µl and 5-1250 µl
D-ONEシングルチャンネル分注モジュール

今日のライフサイエンス研究室は、信頼性の低いサプライチェーン、高騰する運営費用、広範な人員不足など、かつてないほどの課題に直面していることは間違いありません。そのため、施設はワークフローの各段階で手動入力を減らすソリューションを採用し、あらゆる事態に備える必要があります。そうすることにより、現場の人手不足を補い、増え続ける大量の複雑な検査の需要に対応するために実験室の処理能力を高めながら、実験室の費用効率を維持するのに大いに貢献することでしょう。この短い調査結果から、当社の多用途で堅牢な製品は、将来の診断ニーズに対応することを真剣に考えている実験室にとって貴重な資産であることが明らかになりました。