PCRのピペット操作戦略を簡素化—業界からのヒントとコツ

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PCRのピペット操作戦略を簡素化—業界からのヒントとコツ

PCRという用語は、新型コロナウィルスのパンデミックにより一般的にも使用されるようになりましたが、その技術の発明と応用は数十年前にまで遡ります。その標的DNA配列を迅速に増幅する能力は、研究、診断、および法医学における基本的な手法として使用されてきました。PCRは多数の段階から構成されており、複数のピペット操作ステップを必要とするため、時間がかかり面倒なことも多いです。適切なツールを使用してピペット操作の苦痛を解消し、PCRワークフローの再現性と生産性を大幅に向上させる方法をご紹介します。  

PCRアプリケーションにおけるピペット操作の課題

PCRは確実な検査法ですが、試薬とサンプルに対して多くのピペット操作を必要とするため、ヒューマンエラーに繋がりやすく、誤った結果や実験の失敗につながる可能性があります。PCRピペット操作には通常、次のような課題があります。

  • 正確さが求められる反復的な作業は、長時間にわたって高い集中力を必要とし、集中力が切れることでエラーが発生する可能性を持つ。      
  • 温度に敏感な試薬とサンプルは、取り扱い方法によって精度に影響を及ぼす可能性がある。
  • 粘度の異なる少量のDNAをピペットで取り扱うことは難易度の高い技術が求められる。 
  • 様々な種類の実験器具を使用しなければならないことと、シングルチャンネルのピペットを使用しなければならないことが、疲労の蓄積やエラー発生の可能性を高めている。

PCRの効率を最大化する高品質なピペット操作ソリューション

正しいピペット操作技術と実験のセットアップは、分子生物学の様々な分野で必要とされており、日常的に実行されています。どちらもサンプルのコンタミネーションを減らし、正確な結果を約束するためには重要な要素です。しかし、それだけでは上記の課題を簡単に克服することはできません。特に多数のサンプルを扱う場合は、より包括的なソリューションが必要になります。

INTEGRAでは、処理量に関わらず、PCRのワークフローにおける様々な課題に対応できるピペット技術をご用意しています。容量レンジ0.2 µlから5000 µlまでのピペットとデッドボリュームを大幅に削減し、高価な試薬を節約する革新的な試薬リザーバー「SureFlo」です。さらに、当社が提供するすべてのツールは簡単に洗浄・滅菌することができ、バイオセーフティキャビネット内に簡単に収まるため、コンタミネーションの可能性を減らすことができます。

SureFlo™ anti-sealing array

便利な機能で負担を軽減 

処理量の少ないPCRアプリケーション(1日あたり最大1/2プレートまで)には、 EVOLVEシングルピペットまたはマルチチャネルピペットが最適です。本製品には、マニュアル操作の精度と速度を向上させる便利な容量設定ダイヤルが備わっています。また、当社のVIAFLO電動ピペットシリーズは、低処理量のPCRセットアップにも適しており、1日あたり最大8プレートという大きな需要に完全に対応できます。電動ピペットは、ピペット操作の繰り返しによるエラーのリスクを軽減すると同時に、PCRのセットアップに必要な少量の液体を精密に処理できるため、正確な結果と高処理量を同時に実現することができます。たとえば、「等量分注」モードは、マスターミックスを分注するときや、試薬をプレート全体にピペット操作するときに、効率を高めるオプションとなります。     

NTEGRAのVIAFLO電動ピペットが、ハーバード大学医学部の研究者が行っている PCRでの液体移送にどのように役立っているかご覧ください。

INTEGRA's VIAFLO electronic pipettes are available in various volumes.

ラボウェア間の移送の簡素化

PCRのセットアップでは、PCRプレート、チューブ、電気泳動ゲルなど、さまざまな実験器具間で液体を移送する必要があります。この工程は面倒でエラーが発生しやすく、時間が経つと反復性疲労傷害を引き起こす原因にもなります。当社のVOYAGERチップ間隔可変電動ピペットは、このような従来の問題を解決し、作業スピードを高めながら移送ミスを排除するとともに、人間工学に基づいた片手操作設計により、もう一方の手で実験器具を自由に扱うことができます。VOYAGERにより、1.5 mlマイクロ遠心チューブから96ウェルプレートへのサンプルの移し替えと、電気泳動用のアガロースゲルへのサンプルの添加を含むPCRプロトコルをどのように簡素化・最適化できるかご覧ください。

INTEGRA’s range of VOYAGER adjustable tip spacing electronic pipettes.

高処理量のPCRアプリケーション

生産性の高い高処理量のPCRセットアップ(1日あたり8プレート以上)には、ラボの規模と予算に対応する豊富なオプションがあります。VIAFLO 96とVIAFLO 384チャネルの電動プレート分注機、およびMINI96 96チャネルポータブル電動ピペットは、操作ステップを減らし、生産性と再現性を向上させます。MINI 96はPCRセットアップに特に適しており、1回のピペット操作で96ウェルプレートから96ウェルPCRプレートに、テンプレートDNAを続けて加えることができます。

INTEGRAのVIAFLO 96電動ピペットは、ドイツのフランクフルトにあるOctapharma Biopharmaceuticals GmbHにおいて、PCR解析時間を60%以上短縮することができました。

MINI 96 96チャンネル電動ピペット 容量範囲:4 種類

ワークフローを自動化して処理量を拡大する

INTEGRAは、ワークフローを自動化できるピペット操作ロボットも提供し、高処理量を扱うラボや、マニュアル操作によるコンタミネーションのリスクを減らしたいラボに最適です。

新型コロナウィルスのパンデミックにより、PCR検査に対するラボへの期待が高まり、自動化ソリューションの重要性が浮き彫りになりました。オーストラリアのブリスベンにあるSullivan Nicolaides Pathologyの微生物学・分子病理学部門のチームがINTEGRAのASSISTPLUS自動分注機を使用してSARS-CoV-2検査の課題をどのように克服したかをご覧ください。このシステムは、PCRワークフローに含まれる複数のピペット操作ステップを処理する自動PCRプロトコルの開発に最適で、これまでにない検査の需要を満たすために役立ちます。このシステムを使用して、より多くのサンプルをより短い時間で処理し、384ウェルqPCRプレートのセットアップに必要な時間を1.5時間から12分に短縮した実例をご覧ください。 

Example of the ASSIST PLUS pipetting robot transferring a Mastermix into a 384 well PCR plate.

コンタミネーションの軽減

ピペットの性能はチップに左右されます。INTEGRAは、幅広いPCRピペット操作ソリューションを補完するためにGripTipsを開発しました。GripTipsは、RNase、DNase、およびPCR阻害物質によるコンタミネーションを防ぐためにクリーンルーム環境で製造されており、適合性を確認するための証明書を添付しています。GripTipsはすべてのINTEGRAピペット操作ソリューションに完全に適合し、独自の設計により簡単に装着できるため、脱落や液漏れがなく、コンタミネーションのリスクを軽減します。