ウイルスのゲノミクスとシーケンシングでパンデミック対策を支援

· ユーザー証言

ウイルスのゲノミクスとシーケンシングでパンデミック対策を支援

 

CEVTは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対応するため20203月に設立され、ルイジアナ州北部においてPCR検査の実施と分析が承認された最初の施設でした。同センターは、デルタ株流行時には週に最大20,000本の中鼻甲介スワブを処理し、ワクチンが入手可能になると直ちに包括的なワクチン接種プログラムを開始しました。また、 SARS-CoV-2ウイルスについて理解を深めること、接触者の追跡や季節性に関する研究などの分子疫学研究を可能にすること、および将来のワクチン開発に有益な情報を提供することを目的とした国際的な取り組みの一環として、CEVTSARS-CoV-2 分離株のシーケンシングも開始しました。このような疾病管理への包括的なアプローチにより、当施設はルイジアナ州評議会から「新興ウイルス脅威対策のセンターセンター・オブ・エクセレンス(Center of Excellence for Emerging Viral Threats)」として認定を受けました。

CEVTのウイルスゲノミクス・シーケンシング研究室の室長であるKrista Queen博士は、設立の動機について次のように述べています。「CEVTの当初の目的は、新型コロナウイルス感染症の検査とワクチン接種プログラムを、サービスの行き届かないルイジアナ州北部の農村コミュニティに広げることでした。私たちは、いち早く週に何万件もの検査を行うようになり、それまで命を救える可能性のある予防接種を受けることができなかった多くの人々にワクチンを接種しました。それに加えて、私たちのシーケンシング面の研究からは、SARS-CoV-2の感染メカニズムと進化に関する初期の重要な知見が得られました。私たちはこれまでに18,000以上のSARS-CoV-2ゲノムの配列を決定しました。この貴重なデータは、新たな流行の波や変異株が表面化したときにウイルスの広がりを追跡し、その対策を行う上で重要なリソースであり続けています。」

CEVTでは、50μlVOYAGERチップ間隔可変電動ピペット3台(8チャンネル1台、12チャンネル2台)保有しており、新型コロナウイルス感染症の検査ワークフローでチューブから96ウェルプレートにサンプルフォーマットを変更する際や、週に最大800個のサンプルを処理するゲノムシーケンシングラボで液体移動やビーズによるクリーンアップに使用しています。かつてCDCINTEGRA製品を使用していたKristaは、その時の経験に基づいて新たな職場の同僚にINTEGRA製品を勧めました。彼女は次のように述べています。「手作業によるサンプルフォーマットの変更は非常に時間がかかり、ミスが起こりやすいプロセスなので、異なる種類の実験容器間で液体を移動させることは研究室のスタッフにとって大変な苦痛です。電動でチップ間隔が調整できるVOYAGERピペットは、フォーマットの異なる実験容器間で一度に複数のサンプルを簡単かつ迅速に移動させることができ、その高い精度と再現性により、ピペットプロトコルを繰り返し行う必要がなくなります。そのため、手間のかかるフォーマット変更の手順が大幅に効率化され、新型コロナウイルス感染症検査の所要時間を短く維持することが可能になりました。また、病気の流行状況を迅速に把握し、新しいワクチンの製造に必要なデータバンクに頻繁に寄与する上でも役立ちました。」

さらに、「VOYAGERピペットは使用する人のことを考えて開発されており、人間工学に基づいたデザインのおかげで長時間使用しても体のどこかを傷めたり、不快に感じたりすることはありません。また、VIALINKソフトウェアは非常に直感的ですぐに使いこなせるので、初心者のトレーニングや新規プロトコルのプログラミングの際のダウンタイムを短縮することができました」とKristaは付け加えています。

Krista Queen ASSIST PLUS
写真提供内の新興ウイルス脅威対策センター(CEVT)

VOYAGERピペットに加えて、新型コロナウイルス感染症検査を行う研究室では、分注やミキシングの反復作業にVIAFLO軽量電動ピペット2台と、手作業で行うのが困難だった384ウェルプレートのフルスタンピングを簡単かつ正確に行えるMINI 96ポータブル電動ピペットも使用しています。MINI 96は、手作業による分注に比べて同施設での検査プロセスを大幅にスピードアップさせ、厳しい納期に間に合わせ、常に短い検査所要時間を達成することを可能にしています。また、週ごとに変化する予測不可能なサンプル数に対応するため検査プロトコルを拡張できるようにしてくれます。

新型コロナウイルス感染症の症例数が減少するにつれ、CEVTでは汎用性の高いピペットソリューションを使用して、インフルエンザとRSVのゲノムのシーケンシングを行うようになりました。この情報をもとに季節性ワクチンを開発し、ウイルスの進化に伴って現れる新たな変異に対してワクチンが有効であることを確認するためです。その後、米国でエムポックス(サル痘)が発生したことをきっかけに、同施設では検査能力を拡張し、地域の下水をモニタリングするようになりました。これは、INTEGRAの製品がニーズに応じてさまざまな新しいワークフローに容易に対応できることを示しています。

ウイルスゲノミクスの研究チームは、マスターミックスをプレート全体に分注するなどの新規プロトコルのリキッドハンドリングを自動化するため、ASSIST PLUS分注ロボットを最近導入しました。これにより直接作業しなくてもいい時間が増え、研究室のスタッフは他の重要な作業にその時間をあてることができるようになりました。彼らはリソースをより有効に活用し、増大する検査需要に対応するためにサンプル処理能力を向上させるとともに、ミスが生じる可能性を減らしてより安定した結果が得られるようになるでしょう。また、ASSIST PLUS用のD-ONEシングルチャンネル分注モジュールは、マスターミックスの調合を効率化してくれます。そして、今後新たなプロジェクトを立ち上げ、ウイルスシーケンシングのワークフローをさらに探求する上で必要な柔軟性をチームに与え、研究室により一層の成果をもたらすことでしょう。

 「新型コロナウイルス感染症は、ウイルスゲノム解析の可能性に光をあてたほか、それが新たな検査やワクチン、モニタリングプログラムの開発に役立つ知見を生み出すことを通じて今後の疾病対策に寄与できることを示しました。ASSIST PLUSのような新しいINTEGRAピペットソリューションは、研究室の能力を向上させ、結果の信頼性と再現性に対する自信を高めてくれることでしょう。これらの貴重な製品は、昨今の世界的な健康危機から学んだ教訓と相まって、今後CEVTが、人々の健康を脅かす新型ウイルスやその他の病原体の検出において地域トップの監視検査施設になるという目標を達成する助けとなってくれることと思います。」Kristaはこのように締めくくっています。

MINI 96 used to fill a 384 well plate