MTTアッセイ用の装置選択で考慮すべき主なポイント

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MTTアッセイ用の装置選択で考慮すべき主なポイント

MTTアッセイは、単純な手順で行える一方、再現性の点で研究者を悩ませてきました1。というのも、MTTアッセイには細胞や試薬の分注ステップが複数あるため、マルチウェルプレートの数が増えるにつれて分注ステップ数が急激に増加し、不正確さや実験のばらつきの原因となる可能性があるからです。さらに、MTTアッセイは、放射性物質やインターカレーティング剤を使用する他の細胞生存率アッセイよりも安全なものの、高濃度のMTTは細胞に毒性を示すことがあります1。そのため、予備試験を実施して、それぞれのタイプの細胞に最適な細胞密度とMTT濃度を見つけなければなりません1。最適化試験や、複数のマルチウェルプレートを扱う面倒な分注ステップの自動化に試薬ディスペンサーを使用することで、研究者の負担が軽減されるとともに、実験の一貫性と再現性を確保できます。

MTTアッセイ用に試薬分注を自動化する場合、装置が以下の要件を満たしているかを考慮する必要があります。

柔軟性 

新たな治療薬の開発にあたって、研究者らはマルチウェルプレート内の数百~数千の細胞に対してリード薬剤候補をスクリーニングします。MTTアッセイは、96ウェルプレートでのハイスループットスクリーニング用に開発された最初の均一系細胞生存率アッセイでした2。ハンドヘルド手動ピペットを使用する場合でも、電動マルチチャンネルピペットを使用する場合でも、96ウェルプレート全体に細胞と試薬を分注する作業はユーザーの疲労やミスの発生につながる確率が高くなります。当社のWELLJET試薬ディスペンサーなどのシンプルな試薬ディスペンサーは、6ウェルプレートから1536ウェルプレートまでさまざまなフォーマットのマルチウェルプレートを扱う日常的なピペット作業を自動化します。WELLJETは、さまざまな実験ニーズに対応するため、0.5 µLから10 mLまでの容量を分注可能な8チャンネルまたは16チャンネルの分注カセットを使用します。また、細胞生存率を最大限に高めたり、さまざまな試薬の分注要件を満たしたりするために、細胞を含む液体など、さまざまな液体の分注速度を制御することも可能です。しかし、この装置は、簡単に使えるディスペンサーというだけでありません。ソフトウェアを活用して、異なるプレートサイズに対するカスタムプロトコルを定義・保存できるため、反復の多い実験のスピードアップ、手作業が必要な研究時間の短縮、そして実験の再現性の向上を実現できます。

WELLJET-Reagenziendispenser

スペース 

多くの研究者は、自動化のメリットを得るには、自動分注ワークステーションに投資しなければならないと考えがちですが、そういった箱型の大型装置は、実験室の実験台で幅をとり、貴重な研究スペースを占拠します。これとは対照的に、WELLJETは20 x 46 x 29 cmと、この種の実験室用装置の中では非常に小さい設置面積で、リキッドハンドラーと同様にピペット作業の自動化という目標を達成します。また、WELLJETには、1日25枚以上のプレートを処理するハイスループット環境で作業する方に最適な、プレートスタッカー式のモデルもあります。46 x 46 x 63 cmとやや大きめのWELLJETスタッカー式ディスペンサーは、液体を分注し、プレートをタワー状に積み重ねていきます。そのため、分注済みのプレートをきちんと整理することで貴重なスペースをさらに確保できるとともに、何千ものサンプルのハイスループットスクリーニングを可能にすることで生産性を最大限に高めます。どちらの装置もクリーンベンチの下に簡単に収まります。

Module de stockage WELLJET dans une hotte à flux laminaire

手頃な価格 

試薬ディスペンサーは、送液チューブを備えた試薬分注カセットをピペットの代わりに用いて溶液を分注します。従来の試薬分注カセットは押出成形されたシリコーンを使って製造されているため、チューブの内径にばらつきがある場合があります。このばらつきを軽減するため、メーカーは製造工程途上でチューブの張力を調整することで、カセットの個々のチャンネルをキャリブレーションします。こうしたキャリブレーションの成果は、時間の経過とともに損なわれることがあるため、科学的正確性を維持するために使用者はカセットを再キャリブレーションするか、廃棄しなければなりません。WELLJETは、EasySnap ™と呼ばれる射出成形されたシリコーンチューブ製の革新的なタイプの分注カセットを使用しています。この方法だとすべてのチューブが同じ寸法で製造されるため、チャンネル間のばらつきや再キャリブレーションの必要がなくなります。その結果、EasySnapカセットは購入時の費用だけでなく、ランニングコストが長期的に抑えられ、貴重な研究費を節約できます。

Scientifique insérant une cassette de distribution EasySnap dans le WELLJET

ユーザビリティ 

試薬ディスペンサーは使い勝手も良好です。WELLJETは、大画面のディスプレイと直感的なユーザーインターフェイスを備えており、分注プロトコルのプログラミングを簡単に行えます。EasySnap分注カセットは、壊したり取り付け方を間違えたりすることを心配せずに、簡単に装置にセットできます。また、EasySnap分注カセットには、分注された量を追跡できるように近距離無線通信を用いた自動認識技術(RFID)タグも付いています。EasySnap RFIDタグは、分注された量を常時通知するとともに、カセットの交換時期をユーザーに知らせます。

Scientifique utilisant le grand écran du WELLJET pour programmer un protocole de distribution

真の価値 

WELLJETの手頃な価格に加えて、高品質の試薬ディスペンサーを使用することによるコスト削減の最大のメリットは、研究者の時間を最適化できることです。複数のマルチウェルプレートへの液体分注に試薬ディスペンサーを選択することで、実験の信頼性と正確性が向上するとともに、より複雑な実験タスクを実行したり、データを分析したり、より早く有益な発見をすることに使う時間が生まれます。

このトピックに関する詳細情報をご希望の場合は、試薬分注のMTTアッセイへの応用に関する当社のテクノロジーガイドをダウンロードしてください。

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Drug Discovery Newsと共同で作成されました。

参考文献

  1. Ghasemi, M, Turnbull, T, Sebastian, S, & Kempson, I. The MTT assay: utility, limitations, pitfalls, and interpretation in bulk and single-cell analysis. Int J Sci 22(23), 12827 (2021).
  2. Mosmann, T. Rapid colorimetric assay for cellular growth and survival: application to proliferation and cytotoxicity assays. J Immunol Meth 65, 55-63 (1983).