オハイオ州立大学化学・生化学部のハダッド研究グループは、有機リン酸系農薬のin vitro研究に力を入れています。研究室の大学院生であるステイシー・アレン（Stacey Allen）さんが次のように説明してくれました。「私たちは、農薬や神経剤によるアセチルコリンエステラーゼの阻害を逆転させる治療法の開発や、これらの化学物質への曝露から人々を守る新たな方法の開発に取り組んでいます。 主に構造と活性の相関関係に着目し、例えば、ある化合物の一部分に手を加えることで酵素活性を回復させる効果があるかどうかを調べています。私たちの主な目標は、これらのin vitro技術を用いて優れた「ヒット」を作ることです。そして、これがin vivo 研究で使用できるようになれば、これらの化合物がどのように血液 脳関門を通過するかなどについて理解が深まるようになるのです。

さまざまなワークフローの自動化

同グループは、作業工程の評価でその必要性が証明されたため、2019年3月、ASSIST PLUSピペッティングロボットを購入しました。ステイシーは次のように続けます。「私たちは、ASSIST PLUSを主に使用して、インキュベーションのためにプレートを準備し、陰性対照やさまざまな化合物をプレートにピペッティングし、ミキシングステップを実行するプロセスを自動化しています。また、エルマン法などの検出アッセイにもこのロボットを使用しています。インキュベートしたプレートからサンプルをピペットで取り、別のプレートに移してからプレートリーダーに入れます。」

「もともとはすべて手作業で行っていたのですが、非常に疲れますし、反復性緊張損傷を発症するリスクが高かったのです。それだけでなく、ヒューマンエラーや、特に作業員間での結果のばらつきがかなり多くありました。そこで、どのような機能が必要なのかを熟考した結果、ASSIST PLUSが私たちの要求をすべて満たしており、他の液体処理プラットフォームと比較しても手頃な価格でした。このシステムではさまざまなピペットを切り替えて、必要に応じて手動ピペッティングに使用できることも、本当にメリットが大きいですね。VOYAGERチップ間隔可変ピペットをロボットで使用することにしたのは、チューブからプレートへの移動など、さまざまなラボウェアフォーマット間でのサンプル移動が簡単にできるからです。」

直感的なプログラミング

ASSIST PLUSとVIALABピペッティングソフトウェアを組み合わせることにより、高度なプログラミングの専門知識を必要とせず、さまざまなアプリケーションのための自動化プロトコルを簡単に作成することができます。ステイシーは次のように付け加えます。「大学生であろうと大学院生であろうと、ロボットの使い方を教えるのはとても簡単ですし、ソフトウェアは非常に使いやすく直感的に操作できるようになっています。誰かに使い方をトレーニングしてもらう必要もなく、1日椅子に座って自分で覚えました。ワークフローの編集が必要な場合は、各ステップに説明があります。すべての機能が明確に説明されていて、プログラムのカスタマイズが非常に簡単になりました。また、シミュレーション機能を使ってプログラムの最終チェックを行うこともできます。これは、実践する前に正しく行われているのかを確認するのに非常に便利です。」

完璧な装着

INTEGRAの各種GripTipピペットチップは、多様なワークフローに合わせて設計されており、ASSIST PLUSのようなベンチトップピペッティングプラットフォームに適したチップは、二次真直度試験を含む追加の品質管理手順を受けています。これは、自動ピペッティングに於いてウェル中心を間違いなく標的にするために役立ちます。 ステイシーは次のように述べています。「私たちは主に未滅菌のローリテンションチップを使用しています。このチップは、手動で使用する場合もASSIST PLUSに装着する場合も、VOYAGERに簡単に装着できます。」

プログラムの拡張

「現在は、同じ容量で同じピペッティング法を使用することが多いのですが、ワークフローにさまざまな検出方法を追加し、ロボットを使って自動化することも視野に入れ始めています。それには、新しいプログラムを作成する必要がありますが、VOYAGERピペットに最大４0個のプログラムを保存できるので、すぐに使えて非常に便利です。全体的に、ASSIST PLUSは私たちの仕事に大変役立っています。研究結果の再現性は大幅に向上し、エラーも少なく、時間の節約にもなりました。非常に多くの人々がこれを利用しているので、もう1台の購入を検討しているところです」とステイシーは締めくくりました。